顧客間の「インタラクション」の場を提供
前回の続きです。
⑤プラットフォームモデルは、自社を顧客間のインタラクション(相互作用)の場として提供するビジネスモデルです。たとえば、楽天市場、Yahoo!オークション、iPhoneAppstoreなどがこのビジネスモデルの典型例とみなされています。
具体的には、楽天市場では販売業者と買い手が、Yahoo!オークションでは、オークションの出品者と買い手が、インターネット上に用意されたプラットフォームを通じて相互にやりとりする仕組みとなっています。また、iPhoneAppstoreでは、同様の形でアプリ製作者とアプリユーザーを結び付けて取引を行わせています。
顧客間のインタラクションが盛んになればなるほど、プラットフォームとして提供された場は魅力的なものになり、顧客が増え自社の利益はあがっていきます。しかも、一度支配的なプラットフォームを形成することに成功すれば、競合がその立場を崩すことは難しくなります。
プラットフォームモデルのビジネスマップを説明すると、バリューチェーンのブロックに関しては、KPが出店業者、出品者、アプリ製作者、KAがプラットフォームシステムの運用、KRがプラットフォームシステム、VPが顧客間のインタラクションの場を提供すること、CRがWEB、電話、イベント、CHがインターネット、会員制サークル、CSが特定のコミュニティユーザーになります。
一方、収益モデルのブロックに関しては、CSがプラットフォーム構築・運用費用、RSが手数料になります。
[図表1]プラットフォームモデル
顧客の欲するものだけを販売…アンバンドリングモデル
⑥アンバンドリングモデルは、もともと一体で販売していたものを分解し、顧客の欲するものだけを販売するビジネスモデルです。「アンバンドリング(unbundling)」とは一体化されていたものを切り離すという意味で、束ねることや一括販売を意味する「バンドリング(bundling)」の反対語になります。たとえば、QBハウス、LCCなどがこのビジネスモデルを採用しています。
QBハウスを例にすれば、従来の理髪店では、カット、シャンプー、髭剃り、マッサージのサービスがワンセットとして、つまりはバンドリングされた形で提供されるのが当たり前でした。それに対して、同社はカットのみを切り離し低価格で提供することにより「髭剃りはいらない、髪だけを切ってもらえればよい」という消費者の要求にこたえ、その心をつかむことに成功したのです。なお、アンバンドリングモデルに類似のビジネスモデルとしては、製品そのものを分解するのではなく、製品の提供する機能を売って使った分だけ課金するユーティリティオファリングがあります。
アンバンドリングモデルのビジネスマップを説明すると、バリューチェーンのブロックに関しては、KPが資材提供業者、KAが顧客サービス、社内合理化、KRが店舗、従業員、VPが顧客の欲するものだけを切り出して提供すること、CRがWEB、電話、F2F、CHが直販もしくは販売店、CSが学生、ビジネスマンになります。
一方、収益モデルのブロックに関しては、CSが人件費、資材調達費、RSがサービス売上になります。
[図表2]アンバンドリングモデル