新市場を創造&独占するブルーオーシャンモデル
前回の続きです。
⑦ブルーオーシャンモデルは、顧客提供価値の新たな組み合わせにより、新たな市場を創造し、独占する戦略モデルです。「ブルーオーシャン」は競合相手のいない未開拓市場のことで、「レッドオーシャン」(激しい競争が繰り広げられている既存市場)の対義語です。たとえば、俺のフレンチ、任天堂などがこのビジネスモデルを採用しています。
具体的に述べると、俺のフレンチは、飲食店業界を「高級料理」と「カジュアル料理」の軸と「居心地がよい」「居心地がよくない」の軸から分類し、新たな市場を創設しました。すなわち、「高級料理」で「居心地がよい」には高級レストランが、「カジュアル料理」で「居心地がよい」にはファミリーレストランが、「カジュアル料理」で「居心地がよくない」には立ち飲み屋がすでに競合として存在していました。
そこで、残されていた「高級料理」で「居心地がよくない」の領域に進出し、上質の食事を狭い店内で立ち食い方式で提供し顧客を集めるノウハウを確立したのです。
俺のフレンチを例にブルーオーシャンモデルのビジネスマップを説明すると、バリューチェーンのブロックに関しては、KPが高級食材納入業者、KAが一流料理の提供、料理以外の節約、KRが高級食材、一流シェフ、VPが立ち飲みスタイルで高級料理をリーズナブルな価格で提供すること、CRが店舗、CHが対面サービス、CSがグルメな中間所得層になります。
一方、収益モデルのブロックに関しては、CSが人件費、食材調達費、RSが料理の売上になります。
[図表1]ブルーオーシャンモデル
付随の消耗品などで継続的な利益を獲得
⑧レーザーブレードモデルは、最初に購入される製品を安価で提供し、その後の消耗品や保守サービスで継続的に儲けるビジネスモデルです。レーザーブレードはカミソリの刃のことですが、その名称の由来は替え刃カミソリを初めて製品化したジレット社が、カミソリ本体は格安で販売し、替え刃で利益をあげる事業戦略を展開したことによります。エプソンなどのプリンターメーカーもこのビジネスモデルを典型的な形で活用しています。
たとえば、メーカーは製品本体のプリンターについては価格をディスカウントして、その購買を促します。一方、消耗品であるインクについては十分利益のとれる価格を設定します。顧客は最初にプリンターを購入してしまった以上、プライスアップされた専用のインクを買わざるをえません。こうして、メーカーは製品本体のディスカウントされた価格分以上の利益を、消耗品によって獲得することが可能となるわけです。また、競合する後続製品を排除する効果も期待できます。
ジレット社を例にレーザーブレードモデルのビジネスマップを説明すると、バリューチェーンのブロックに関しては、KPが原材料メーカー、KAが製品製造、プロモーション、KRが製品、ブランド、VPが消耗品の買い替えで、製品を長期利用してもらうビジネスモデル、CRが店舗、CHがドラッグストア、スーパー、CSが成人男性になります。
一方、収益モデルのブロックに関しては、CSが製造コスト、輸送コスト、RSが剃刀本体、替え刃の売上になります。
[図表2]レザーブレードモデル