前回は、ビジネスモデルの構成要素「バリューチェーン」と「収益モデル」について紹介しました。今回は、企業の収益モデル策定に不可欠な「利益の公式」を見ていきます。

「利益の公式」には3種類ある

収益モデルを策定する際には、一にも二にも利益のことを、すなわち「この新規事業のプランで利益が確実に出るのか」を考えなければなりません。

 

基本の確認になりますが、利益は売上から費用を引いた以下の公式によって求められます。

 

「利益=売上−費用」

 

この「利益の公式」からわかるように、利益を確保するためには、①「売上の額をいかに上げるか」②「費用の額をいかに下げるか」の二択しかありません。

 

まず、①については、下記の公式によって求められます。

 

「売上=価格×数量」

 

この公式から、価格と数量のどちらかを、あるいは双方をアップすれば売上の額を上げられることがわかります。

 

一方、②については、下記の公式によって求められます。

 

「費用=変動費+固定費」

 

この公式から、変動費と固定費のいずれか、あるいは双方の額を下げれば費用は減らせることになります。

 

このように、製品の価格と数量をアップすること、変動費と固定費の額を減らすことを意識しておくことにより、利益を着実に確保できる収益モデルを組み立てることが可能となるでしょう。

 

[図表1]利益の公式

 

ビジネスモデルの整理には「見える化」が必要

前述のように、ビジネスモデルはビジネスモデルキャンバスの形で整理していきます。ビジネスモデルキャンバスでは、多数の要素からなるビジネスモデルが1枚の紙にまとめられているため、その全体をスムーズに理解することが可能となります。具体的な作成方法としては、まず「提供価値」を中心に置き、左側にオペレーション戦略、右側にマーケティング戦略を配置し、この一連のバリューチェーンを全体図の上部に配置します。

 

提供価値は「VP(ValuePropositions)」で示されます。オペレーション戦略、マーケティング戦略の中身はそれぞれ、以下のように3つの要素から構成されます。

 

(オペレーション戦略)

 

①KP(KeyPartners)

主な提携先(重要な事業パートナー)

 

②KA(KeyActivities)

主な業務活動(提供価値の源泉となる重要な活動)

 

③KR(KeyResources)

主な経営資源(事業に必要なヒト、モノ、カネ)

 

(マーケティング戦略)

①CR(CustomerRelationships)

顧客との関係(どのような手段で関係を結ぶか)

 

②CH(Channels)

チャネル(顧客に提供価値を届ける手段)

 

③CS(CustomerSegments)

顧客セグメント(顧客の属性、利用目的など)

 

[図表2]ビジネスモデルキャンバス/バリューチェーン

本連載は、2017年4月27日刊行の書籍『超図解! 新規事業立ち上げ入門』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

超図解! 新規事業立ち上げ入門

超図解! 新規事業立ち上げ入門

木下 雄介

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の企業は目下巨大なパラダイムシフトの波に直面しています。 経営環境の変化がめまぐるしい中、企業が生き残るためにはビジネスモデルを再構築し、新たな収益の源泉として新規事業に取り組むことが不可欠です。 新規事業…

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