前回は、「損益計算書(PL)」の見方を説明しました。今回は、「貸借対照表(BS)」の見方を見ていきましょう。

BSは「財務体質」の強さを示す

今回は、BSについて見ていきます。

 

PLが、決算までの1年間、事業でどれだけのプラス、マイナスがあったかの”事業の推移・流れ”を表すのに対し、BSは、ある時点、つまり決算時点での資産と負債、平たく言えばどれだけのお金があって、いくら借金を抱えているかを表します。言ってみれば、「1年間のPLの結果=BS」。財務体質の強さを示すものとなります。

 

[図表]貸借対照表(BS)の簡略図

 

図表の①を見るとわかるようにBSを構成する要素は、大きくは次に挙げる3つになります。

 

●資産(会社が持っている財産、お金)

●負債(返済義務のある他人資本)

●純資産(返済義務のない自己資本)

 

資産は現金預金や売掛金など(流動資産)、建物・土地など(固定資産)に分かれ、負債は買掛金、借入金などに分かれますが、ここでとくに注意したいのが、「借入金と現金預金のバランス」です。

 

とくに③のように、銀行などの利子が伴う借入金が多く、一方で現金預金の割合が非常に小さくなっている場合、経営状態は思わしくないと判断されます。

借入金が少なく、現金が十分にあるかどうかをチェック

何度も言っているように、いくら売上があっても、現金がないと会社の経営は立ち行きません。黒字倒産という言葉があるように、見かけの数字が良くても、現金として回収できていなければ、会社は突然、傾いてしまいかねないのです。

 

何度も申し上げているように、細かい専門用語はこの際、無視していただいて構いません。

 

●PLで収益と費用のバランスを見て、収益がきちんと上がっているか。

●BSで見て、借入金が少なく、しっかりと現金があるか。

 

これがPLの”フロー”と、BSの”ストック”の望ましい関係であり、その結果が、BS、PLの”スタイル”となって表れるのです。

 

さらに重要なのは、1期(1年)だけで見るのではなく、前年と今年を比較する、望ましいのは3~5期分を見て、その推移を見ることが大事です。果たして、去年より”スタイル”が良くなっているのか、悪くなっているのか。小さな会社の場合は、決算書は形のバランスを見ればOKと心得ましょう。

本連載は、2017年2月24日刊行の書籍『どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理

どんどん貯まる個人事業主のカンタンお金管理

櫻井 成行

幻冬舎メディアコンサルティング

個人事業主にとって、日々のお金の管理や確定申告は、頭を悩ませることのひとつです。忙しい仕事の合間を縫って、毎年〆切ギリギリに何とか税理士に資料を提出する、という人も少なくないでしょう。数字や計算が苦手な人は特に…

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