前回に引き続き、Yes/Noチャートを活用し、肩の痛みの重症度をタイプ別に見ていきます。今回は、タイプ④です。

[図表]「Yes/Noチャート」で”実は気づいていない重症度”を30秒診断

 

タイプ④:腱板断裂が疑われるため、直ちにMRI検査を

[実は気づいていない重症度★★★]

 

このタイプの人は、四十肩・五十肩のような肩の動きが大きく制限されるのとは異なり、腕の上げ下ろしのときに痛みが出たり、痛くないほうの手で腕を持ち上げることができるにもかかわらず、自力で持ち上げようとすると痛くてできないのが特徴です。これは、腱板断裂が疑われる症状ですから、直ちに医療機関を受診してMRI検査を受けましょう。

 

中には、四十肩・五十肩と診断され、長期にわたって医療機関や接骨院などに通ってリハビリを受けているケースも見受けられます。しかし、四十肩・五十肩とは症状が異なりますので、1年以上経っても症状が改善しない、あるいは痛みが取れないという場合は、腱板断裂を含めた別の病気も疑って肩の専門医に診てもらうことをお勧めします。

腱板は外傷がなくても切れることがある

専門医によっては、四十肩・五十肩と診断された50歳以上の患者さんの4割に腱板断裂が認められたといいます。

 

腱板断裂には、腱板が完全に切れている「完全断裂」と、腱板が部分的に切れている「不全断裂」があり、完全断裂は断裂の大きさによって「小断裂」「中断裂」「大断裂」の3つに分けられます。それぞれの状態で治療法も異なり、断裂の範囲が大きければ大きいほど重症度が高くなり、場合によっては手術が必要になってきます。

 

腱板断裂というと、重労働をしている人やスポーツ選手がケガをしたときなどに発症する疾患と思われがちですが、外傷がなくても腱板が切れることがあります。

 

実際に、住民検診による疫学調査では50歳代で10人に1人、80歳代になると3人に1人の割合で腱板断裂が認められています。その中には、腱板断裂があっても無症状の人が半数近くいたこともわかってきました。

 

それは、4本あるインナーマッスルのうち、1本が断裂していても残りの3本が正常に機能していれば、切れた部分の機能を3本が補って総合的に肩を上げることができるからです。したがって、腱板が切れているからといって必ずしも手術になるということではありません。ただ、腱板断裂に気づかず、そのまま肩を使っていることで病態が進行し、結果的に手術をしなければならないことはあります。そうならないようにするためにも早期に発見し、専門医による適切な治療とリハビリを受けることが大切です。

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