訳あり物件にも関わらず「告知事項あり」にならない理由

今回は、「告知事項あり」が訳あり物件のごく一部である実態を見ていきます。※本連載では、訳あり物件アドバイザー・南野真宏氏の著書、『訳あり物件の見抜き方』(ポプラ社)の中から一部を抜粋し、各種問題を抱える物件を見抜くための基本ポイントを紹介します。

可能であれば告知したくない「心理的瑕疵」

物理的瑕疵や法的瑕疵については、本来、売主や貸主、仲介業者が、善良な管理者として注意義務を払うべきことで、やり方次第では十分に防ぐことができる。その発生の有無は、売り手側・貸し手側の良心の問題であろう。

 

また、物理的瑕疵については表面化しやすく、後々トラブルが生じる可能性も高いので、売り手側・貸し手側にとっても告知をしないほうがむしろ勇気がいるかもしれない。

 

しかしながら、環境瑕疵や心理的瑕疵については、外部環境から悪影響を受けたり、過去に不幸な偶発的事象が起きたりと、売主・貸主や仲介者の責任で生じるものでないことが多い。

 

ゆえに、これらを説明しないことに罪悪感が生じにくいだろうし、隠し通せる可能性が高いのであれば、相手が気にかける様子もないことまで、何もかもバカ正直に説明して、みすみす取引のチャンスを逃すようなことはしたくないのではなかろうか。

 

騒音や振動、水害の可能性も、さらにはかつて自殺者が出たという過去なども、告げられることで過剰に気にし始める人もいるだろうし、あえて寝た子を起こすこともないという発想になるのも不思議ではない。「事実」を知ってしまったことで悪いことが起きたら全部、そのせいにされてしまうことさえあるだろう。

 

宅建業者としては、目に見えるわけでもない、直接法に触れるわけでもない環境瑕疵や心理的瑕疵を告知するのは気が進まないはずだ。とりわけ、現在進行形の悪影響があるわけでもない心理的瑕疵については、可能であれば告知したくないのが本音に違いない。

 

物件の弱みを見せることは、相手に価格交渉のチャンスを与えることにもなりかねないし、取引そのものが白紙になる可能性もある。

自らの瑕疵をカミングアウトしている告知事項あり物件

競争の中で、不動産業を営んでいる以上、一件でも多く好条件で成約させて、売上を獲得したいのに、言わなければ気づかないかもしれない不利な事項をわざわざ告知することに葛藤を覚えないはずはないのだ。

 

もちろん、告知する必要はないと宅建業者が考える瑕疵の程度が、買い手側・借り手側にとっても許容範囲内にあれば、問題は生じないだろう。

 

しかし、現実には、宅建業者が瑕疵と捉えていなくても、買い手側・借り手側にとっては重大な瑕疵となる場合がある。中には、悪意なく瑕疵があることに気づいていないケースさえある。

 

告知事項あり物件というのは、自らの瑕疵をいわばカミングアウトしている、そういう意味では非常に良心的な物件だとも言える。ただ、告知事項あり物件は100%瑕疵物件であるが、その逆は成立しない。

 

買い手側・借り手側の立場から見ると「瑕疵がある」のに告知されない物件、つまり隠れた瑕疵物件=訳あり物件が、世の中には山のようにあるのだ。

訳あり物件アドバイザー

1971年大阪府東大阪市生まれ。高槻高校卒業後、上智大学法学部法律学科に入学。上京時、不動産屋に薦められるがまま、南阿佐ヶ谷の割高な半地下ワンルーム物件を借りてしまった苦い経験から宅建資格を取得。 大学卒業後は勤務先にて小売店舗の物件開発に従事するも、公私で訳あり物件に遭遇してしまう。なかでも椎名町の帝銀事件跡に 建てられたマンションを知らずに借りたことから調停・裁判を経験し、訳あり物件の解約に必要な「事前ワード」などの大切さを痛感。 仲介業者でない立場から、訳あり物件の知識と経験を伝える活動を始める。


【テレビ・ラジオ出演】
『ビーバップハイヒール』(朝日放送)・・・「知らない人は損をする!訳アリ物件の見抜き方」
『GOLD RUSH』(J-WAVE)・・・「トラブルに巻き込まれないための物件探しテクニック」
『荒川強啓デイ・キャッチ』(TBSラジオ)・・・「最新・訳あり物件事情」

【新聞・雑誌・TV・ネット取材】
『日刊SPA』・・・「訳あり物件から身を守るたった一つの方法」
『弁護士ドットコム』・・・「訳あり物件を見抜く為のポイント」
『東京スポーツ』・・・「訳あり物件下調べのコツ」
『週刊女性』・・・「ダマしの現場告発スペシャル 欠陥住宅の見抜き方」
『日刊ゲンダイ』・・・「訳あり物件 絶対につかまされない知恵と眼力」
『週刊現代』・・・「「ワケアリ」で得をしよう」
『ちちんぷいぷい』(毎日放送)・・・「石田ジャーナル・木曜法廷/事故物件で損害賠償」

著者紹介

連載買主・借主必見!「訳あり物件」の徹底回避術

本連載は、2015年11月2日刊行の書籍『訳あり物件の見抜き方』から抜粋したものです。稀に、その後の法律、税制改正等、最新の内容に一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

訳あり物件の見抜き方

訳あり物件の見抜き方

南野 真宏

ポプラ社

宅建の資格を持つ「訳あり物件」の第一人者が、具体例を挙げながら、他人事でない実態や見抜き方、回避法を紹介。自殺・他殺等の「事故物件」から土壌汚染、耐震不足、騒音振動、日照、迷惑住民…トラブルに巻き込まれないため…

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