今回は、購入予定物件の「環境瑕疵」を見抜くためのチェックポイントについて見ていきます。※本連載では、訳あり物件アドバイザー・南野真宏氏の著書、『訳あり物件の見抜き方』(ポプラ社)の中から一部を抜粋し、各種問題を抱える物件を見抜くための基本ポイントを紹介します。

内覧は曜日や時間を変えて「複数回」実施

購入や賃貸借を検討している物件を内覧する場合、休日を利用して訪れるケースが多い。しかし、休日だけの内覧では、重要な瑕疵を見落とす可能性がある。

 

たとえば、大きな音をたて、煙を出して稼働している工場の存在やその影響は、工場が実際に稼働している平日にその場を訪れてこそ実感できる。普段は接道する道路をひっきりなしに通過する大型トラックによって耐え難い騒音や振動が発生していても、休日は信じられないほど静か、というケースも決して珍しくない。

 

そのようなことを防ぐ為にも、内覧は曜日や時間を変えて複数回訪れる方が良いだろう。緊急車両の出入りがある病院、消防署、警察署や、子どもが集まる公園、幼稚園、学校に起因する「生活音」も人によっては、「騒音」になりうる。静かな環境を求めるのであれば、そのような施設が近くにないかも確認しておいたほうが無難である。

高層マンションが建つ可能性が高い場所とは?

臭気元としては、工場やガソリンスタンドの臭いだけでなく、河川のドブの臭いや、飲食店の食べ物の匂いにも気をつけなければならない。食べ物の匂いは一時的には不快を感じるものではないが、たとえば近隣に回転寿司の店がオープンしたことで、日々漂う「酢」のにおいに悩まされているという声を耳にしたこともある。一時的には全く気にならない「におい」でも、毎日嗅がされるうちに「悪臭」となる可能性は十分にある。

 

その場所に長く住む予定であるなら、近くに大きな駐車場がないか、古い下請け工場がないかも、必ずチェックすべきである。低層住居専用地域を除き、そのような敷地には、将来的に高層マンションが建てられる可能性が極めて高いからである。眺望は勿論、日照が一気に悪くなる可能性がある。

 

墓地、葬儀場、ゴミ焼却場、廃棄物処理施設などの嫌悪施設が周囲にないか、今後造られる予定はないかも確認しておけば安心だ。また、嫌悪生物にも気をつけよう。コウモリやネズミ、アライグマなどが住みついていないか、オーナー側に言質(げんち)を取るべきである。

 

同じく、嫌悪される存在である迷惑住民や暴力団にも注意が必要である。短い期間に、コロコロと居住者が替わっている物件は、近くに迷惑住民が潜んでいる可能性があるので、注意が必要だ。

本連載は、2015年11月2日刊行の書籍『訳あり物件の見抜き方』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

訳あり物件の見抜き方

訳あり物件の見抜き方

南野 真宏

ポプラ社

宅建の資格を持つ「訳あり物件」の第一人者が、具体例を挙げながら、他人事でない実態や見抜き方、回避法を紹介。自殺・他殺等の「事故物件」から土壌汚染、耐震不足、騒音振動、日照、迷惑住民…トラブルに巻き込まれないため…

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