各自治体の都市計画図で、その土地の状況を確認
土地や一戸建ての購入に際しては、区市町村の都市計画課または建築指導課に出向き、物件にかかる法令を自らの目で確かめることが必須であろう。地域によってはインターネットでも閲覧できる。
まずは、各自治体が作成している都市計画図を見れば、対象物件とその周辺地域の用途地域の指定や都市計画道路の有無が確認できる(都市計画図は自由に閲覧できるし、わからないことがあれば担当者が教えてくれる)。
都市計画図において、対象物件のある場所が都市計画道路にかかっているかはもちろんのこと、市街化区域内か市街化調整区域内かも確認できる。
市街化調整区域内であれば、一般的には、建築確認が下りない。仮に、取引しようとしている物件が市街化調整区域内にある場合、基本的には住宅は建てられないはずの地域なので、詳細の確認を欠かしてはいけない。
また、市街化区域とは、「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」であり、用途地域によって建築出来る建物の種類や建蔽率・容積率などが制限されており、場合によっては、思い描く環境と全く違ったり、希望通りの建物が建てられない可能性もあるので、用途地域が何に指定されているのかも必ず確認しよう。
ただし、用途地域内の制限は当然ながらその地域内に限った話である。仮に自分が購入・賃借した場所が低層住居専用地域でも、対面や隣地が同じ低層住居専用地域であるとは限らない。それゆえ近隣にマンションや工場が建つ場合もあるので、用途地域の境界には注意が必要である。
一戸建ての場合、常識的に考えれば、その制限の範囲内で建てられているはずであるが、中には、違反建築物件を堂々と売り出しているケースもある。
とりわけ注意が必要なのは、中古戸建ての家を買う時である。とくに古い物件の場合は、検査済証の無い場合も多く、完了検査を受けていないのか、受けたが検査に通らなかったのかもわからないため、その確認は必須である。
建て替えを検討する際に、以前より小さい物件しか建てられないという可能性もあるので、用途地域については、必ず確認しておこう。
また、都市計画道路予定地に指定されていれば、道路計画が予定の段階のうちは一定の建築制限のもとで、都道府県知事の認可を受け家を建築することも可能であるが、将来的には建物を取り壊さなければいけなくなる可能性が高い。
将来の売却に備えて、境界線は明確に
接道条件を満たしているかも重要なチェックポイントである。敷地が道路に2m以上接しているのか、その道路は建築基準法で認定された4m以上ある道路(あるいは、4m未満でも、例外的に建築基準法上の道路としてみとめられている道路)であるのかを、確認する必要がある。
それは建物を新築できなかったり、建て替えが出来なかったりといった悲劇を未然に防ぐためである。
公道から出入りする為に、他人の土地を通行しなければならない場合、地役権が設定されているかの確認も欠かせない。地役権のある土地(要役地)を購入する際には、「隣の土地は通っても良いことになっている」といった大ざっぱな説明だけでなく、車での通行も許されているのかなど詳細条件を契約書で確認すべきである。
また、要役地の権利は所有権に付随するため、要役地が売買されることで地役権も買主に同時移転するが、第三者に対抗する為には登記されていることが原則必要なので、将来的に承役地の所有者が変わることも想定して、登記を確認しておいた方が良いし、登記されていなければ登記させてもらうべきであろう。
土地を購入する場合は、将来売却することを考えて境界線を明確にしておいた方が良い。売買契約書にも、一般的に売主の責任で、「境界の明示」と「実測図の作成」を行う旨の記載がなされている。
現地で境界を示す境界標を確認し、境界標がない場合は、土地の実測作業を行った上で、隣地所有者と協議をして境界確認書を交わすなどの手続きは不可欠である。
隣近所と良好な関係を長年維持していたつもりが、土地を売却するに際して境界確認したところ簡単に認めてくれず、実面積が減ってしまうケースは少なくない。境界が不明確な場合は、必ずといって良いほど境界紛争の原因となるので、事前確認をしておくべきである。