そもそも契約締結はどの段階で行うべきか?
契約で最も多いトラブルは、間取りなどの建物の仕様や設備、追加工事や別途工事が曖昧なまま、「ここで契約するのが通常のプロセスです」「○○までに契約していただければ値引きします」という言葉を鵜呑みにして契約してしまうケースです。間取りも、仕様も設備もほぼ確定し、建物以外の追加工事の費用を含めた全体の費用を把握し、大きな変更のない程度プランが確定した段階になって初めて工事請負契約書にハンコを押しましょう。
そして、契約書には契約約款はもちろん、仕様書や設計図、見積り書が添付されていることも忘れずに確認するようにしましょう。これらが万一、揃っておらず、一つでも納得出来ないことがあれば、ストップをかけても何ら問題はありません。極端な例ですが、間違っても坪単価と簡単な間取り図だけで契約することのないよう、納得に納得を重ねてください。
しつこいほどに確認して、100%納得したと思えるまでは、決して契約書にハンコを押さない。それが鉄則です。
遅延損害金の算定根拠日となる「引渡し期日」を確認
工事請負契約書には、支払い方法(条件)という項目があります。どの段階でいくら支払うかについて取り交わされる項目です。注文住宅の場合、住宅会社によって実にいろいろな支払い条件があります。悪質なケースの場合、この支払い条件が極端に偏っていることがあります。回収が早すぎるケースの場合は、クレームが発生する前に、出来るだけ代金を回収しておこうと考えているのかもしれません。住宅会社選びの際、住宅会社ごとに支払い条件について尋ねてみるのも、賢い選択基準と言えるでしょう。そして、その条件が適切かどうかを判断しましょう。
工事請負契約書には、引渡しの期日(もしくは工事完成期日)の項目があります。引渡しに関わる契約トラブルも案外多く見受けます。特に工事の重なる年度末などには、引渡しの遅延もよく起きます。
契約書に書かれた引渡し期日は、遅延損害金の算定根拠日となりますから、日付がしっかりと明記されているかどうかを必ず確認してください。ごくまれに、「とりあえず引渡し日は○月○日にしておきましたが、別途実際の進捗によって引き渡し日を決めましょう」「○月吉日」などというあり得ないケースも現実にあるようです。