前回は、旧来型の手法では遅れを取るかもしれない、家づくりのための「情報収集」の第一歩について説明しました。今回は、家づくりのための情報収集の際、具体的にどんな点に注意すればよいのかを見ていきます。

モデルハウスでは空間演出に翻弄されないよう注意

●住宅展示場・モデルハウス

豪華な設備のモデルハウスが並ぶ住宅展示場は、ハウスメーカーや住宅会社ごとの雰囲気や特徴を肌で感じ、最新の設備を実際に確かめるには適した場所と言えます。しかし、第1章(書籍『改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる』にて詳述)でお伝えした通り、そこにあるのは贅を尽くした非日常空間。

 

最新の設備や機能、優れた工法ばかりを紹介されれば、自分がどんな家に暮らし、どんな生活を送りたいかという本来の目的は霞み、目の前の機能やデザイン、スペック比較に興味を持っていかれてしまいます。営業マンが多くを語らなくても、お客様は巧みな空間演出によって、翻弄されてしまう危険があるのです。さらに、モデルハウスと実際の建物は決して同じではないということを忘れないようにしなければいけません。

 

●住宅情報誌・住宅関連書籍

住宅情報誌や住宅関連の書籍は、重要な情報源です。特に、自分がどのような「家」を建てたいのかに気づくきっかけを与えてくれることも少なくないでしょう。情報誌や書籍の多くは、住宅会社ごとに実際施工した施主宅の写真を掲載しているケースが多いので、それぞれの特徴や、間取りの工夫、体験談などを身近に感じることが出来るでしょう。こんな間取りがいい、インテリアのテイストがいいとイメージをふくらませ、参考のために切り抜いておく人も多いようです。

 

雑誌の場合、注意が必要なのは、編集部が第三者の立場から、ある一定の基準(工法、坪単価、附帯設備、金額、デザイン性)をもとに取材、撮影を行って紹介している記事がある一方で、企業とのタイアップ記事もあるということです。こちらはペイドパブなどとも言われますが、お金をもらってその企業の広告記事を書くというものですから、商品や技術については当然、いい評価を与えています。

 

また書籍のうち、特定の工法や材料に特化した内容のものについては、当然、その工法や材料を宣伝しているものなので、いわば偏った内容になっているわけです。そのため、一冊だけで決めてしまうのは早計です。どんな場合にも比較検討は重要です。

知識の乏しい担当者も多い「マッチングカウンター」

●マッチングカウンター

最近の流行りはマッチングカウンターと呼ばれるものです。この名前自体には聞き覚えがないかもしれませんが、各展示場などに不動産情報を扱う会社が設置している無料の相談カウンターのことです。多くは、自社の雑誌など媒体に広告を出している住宅会社を数件、紹介してくれます。

 

無料と言いましたが、実は、成約した場合には住宅会社サイドから決して低くない%の紹介料を取るという仕組みです。たとえ、お客様の方から出た名前であっても、それは同じです。お客様の望みや考えを親身に聞いて、それに見合った住宅会社を選択して紹介してもらえるのであれば、それでも決して悪くないシステムかもしれません。しかし、多くの場合は、窓口の担当者は家づくりに関する知識も乏しく、各住宅会社の特性も把握しているわけではなく、成約の可能性を高めるために、ただひたすらに数多くの会社を紹介しています。これでは決してお客様のためにはならないと思います。

本連載は、2017年4月12日刊行の書籍『改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

貞松 信人

幻冬舎メディアコンサルティング

人生を左右するほどの大きな買い物である「家づくり」。「家づくり」は購買経験を積むことが出来ないため、何が正しくて、何を基準にすれば良いかわからない、とても難しい買い物です。 あるアンケート調査では、注文住宅を…

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