前回は、海外不動産の投資先選びに役立つ「マクロ」からのアプローチについて解説しました。今回は、アメリカの不動産投資におけるエリアの選び方を見ていきます。

新興国の場合、首都から投資を始めるのが鉄則だが・・・

前回の続きです。

 

投資国が決まっても、どの都市に投資するのかが、次に問題になってきます。

 

新興国の場合は、首都から投資を始めるのが鉄則ですが、先進国、特にアメリカのような大国ではどうでしょうか。ひと口にアメリカに投資をすると言っても、ニューヨークとサンフランシスコではまったく環境が異なりますし、日本では知られていない街であっても投資対象として魅力的なエリアはたくさんあります。

 

 

日本の個人投資家が海外不動産投資をする場合、有名な都市やリゾート地を選択する傾向があります。例えば、アメリカならニューヨークやボストン、あるいはサンフランシスコといった誰もがよく知っている国際的な観光都市です。これらの都市は国内だけではなく国際的にも人気が高く、その分、物件が割高になっています。投資利回りも低く、投資価格も、最低でも数千万円となかなか手を出しにくいレベルになっています。数十億円単位の資産を持つ投資家であれば別ですが、1000万円前後から海外不動産運用を考える場合、そのようなエリアは除外して考えたほうがよいでしょう。

 

また、リゾート地として有名な風光明媚な場所も投資対象として人気です。ハワイのワイキキのような有名な場所は自分で物件を保有してみたいという人が多いのですが、こちらも投資対象をしっかり絞り込む必要があるでしょう。

約1億人の人口増加が見込まれるアメリカ

アメリカのような先進国における投資エリアの選択は、有名かどうかや、自分が住んでみたいかどうかで決めるのではなく、自分が取りうるリスクを考えながら、その中で最も高いリターンが期待できるエリアを選択すべきです。

 

●人口が増えるエリア

 

●賃金の上昇が期待できるホワイトカラー向けの仕事が集まっているエリア

 

●賃貸物件の需給が逼迫して、空室率が低く、利回りが比較的高いエリア

 

これらのエリアを狙っていくのがセオリーです。

 

 

例えば、アメリカ全体の人口は2050年にかけてこれから約1億人増えると予想されていますが、人口増加率は州によって異なります。一般に北東部よりも、サンベルトと呼ばれる南部の州のほうが人口増加率が高い傾向があるのです。具体的には、アリゾナ、テキサス、ジョージアといった地域になります。それらの州の中で、IT系の企業の進出によってホワイトカラーの高所得者層の雇用が拡大しているエリアであれば、賃貸マーケットにもポジティブな影響が期待できます。

 

私もこのような条件を満たすエリアを選んで投資しています。

 

アメリカの場合、州によって経済環境がかなり異なり、産業構造にも違いがあることから、まずは州単位でどのエリアにするのかを絞り込んでいくことが重要です。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『究極の海外不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
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