今回は、企業の業績を大きく左右する「価格設定」について見ていきます。※本連載は、未来創造弁護士法人・代表弁護士、株式会社エイアンドティー・取締役で、税理士としても活躍する三谷淳氏の著書、『伸びてる会社の意外な共通点』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、伸びてる会社に共通する「経理」と「会計」の特徴について紹介します。

人は直感で価格が予想できる!?

伸びてる会社は、自社の製品やサービスの価格を考え抜いています。業界の常識や相場などまったく気にせず、お客様が喜んで買ってくれる金額をとことん考えているのです。

 

日本テレビの『ぐるぐるナインティナイン』という番組で、「ゴチになります!」というコーナーがあります。人気長寿番組なので、ご覧になったことがある方もいるのではないでしょうか。

 

ゴチバトルと呼ばれるこのゲーム(レース)は、出演者が各々、金額が伏せられたメニューから好きな料理を選び、味わった上で金額を予想することで進行していきます。予想した金額と実際の金額が一番近かった人にはご褒美があり、一番的外れな金額を予想した人が、全員分の食事代を払うことになります。

 

このゲームは、値決めの本質を教えてくれます。はじめて食べる料理でも、人は直感で価格を予想できるということです。

 

「こんなに柔らかいお肉は高いはずだ」「こんなに大きなエビは高いはずだ」という予想もありますし、盛りつけが繊細できれいだったら満足度も上がります。もちろん、おいしいと感じることが一番です。

 

金額の予想は当たったり外れたりしますが、店側としてはみんなが予想するより「少し安い」金額を設定することが繁盛の秘訣になります。みんなの予想金額より実際の値付けが高いと、お客様は「思ったより高いな」と不満に感じてリピートしてくれません。

 

逆に、「こんなに安いんだ」と感じさせた場合、お客様は大満足で帰りますが、店側としては、もっと得られるはずだった利益を取り逃がしてしまっている、と言えるのです。

 

どのようなお店でも、「この内容でこの金額は高すぎる」と嫌われず、「この内容でこの金額はお得すぎる」と、利益を取り逃がさない絶妙の値付けを考えなければなりません。これは客単価が3万円の超高級寿司店でも、1皿100円の激安回転寿司店でも同じことです。

 

値決めの際に、業界の常識や相場などを気にする必要はまったくありません。

 

たとえば、あなたがラーメン屋をオープンするときに、「うちは素材と味にこだわって、高い材料を使っているけど、ラーメンは1杯850円が相場だし、近くの店も大体そのくらいの金額だ」と考える必要はないわけです。

 

むしろ、このラーメンなら1杯2000円の値付けをしても、お客様は喜んで来てくれると考えられるのであれば、自信をもって2000円の値段を付けるべきです。そのほうが他の店とは差別化できて目立つことすらできます。

価格を安くすることより、客の満足度向上の努力を

自分の会社の商品やサービスを、お客様はなぜ買ってくれるのか。そこにどのような感動や満足、付加価値があるのかをもう一度深掘りしてみてください。

 

「うちのコーヒーは、コクと香りに自信があったのに、じつはコーヒーカップのセンスのよさが評価されていた」とか、「このスマホは多機能が売りだったのに、じつは見た目のかっこよさが評価されていた」なんてことは、世の中にけっこうあります。

 

このようなケースでは、さらにコーヒー豆の仕入れにこだわったり、新しい機能を搭載した機種を追加するよりも、輸入物のコーヒーカップを仕入れたり、同じ機種でも珍しいカラーのラインアップを追加したほうがお客様は喜びます。

 

自分が売りたいことではなく、お客様が喜ぶことにフォーカスすれば、もっと商品力を高め、価格を上げることができるに違いありません。

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