
前回は、米国の不動産取引の「透明度」が日本よりも高い理由を解説しました。今回は、ハワイ不動産の所有形態のひとつとして知られる「タイムシェア」の仕組みを見ていきます。
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マリオット、ヒルトンのタイムシェアが広がりの契機に
「タイムシェアとホテルコンドミニアムは何が違うのですか?」とお客様から頻繁にお問い合わせを頂きます。確かに、「タイムシェア」も「ホテルコンドミニアム」も「ホテルを買う」という点では同じです。そのため、その違いを明確に理解されている方は少ないかもしれません。
「タイムシェア」とはどのような不動産商品なのかを見ていきましょう。
タイムシェアという言葉が生まれたのは、1960年代のヨーロッパのスキーリゾートです。もともとは親族同士で一つのプロパティ(物件)を保有し、季節ごとに使い分けをしていました。当時は、共同名義でプロパティを所有するためには信託設定をしなければならなかったので、親族間で保有したほうが容易でした。また、親族間のプロパティなので、物件管理をするためのプロパティマネージャーなどを採用するといった無駄な費用をかけずに済みます。
ただし、当然時間を経るとライフスタイルが変化し、長期間利用することがなくなります。そのため、当初に比べると空室期間が長くなり、物件価値が維持できなくなるといったケースが散見されるようになりました。そこで、ヨーロッパのある事業体が1年を52週に分け、そのうち50週分を1週間単位で販売し、2週間はメンテナンスやリペア用に使用して、そのコストを各オーナーにチャージする、というモデルを考案し、広く浸透していきます。
このモデルがアメリカに渡り、最初に登場したのは1974年、フロリダのフォートローダーデールでした。ただし、こちらはいわゆる現在のタイムシェアとは違って、25年間のVacation Licenseを販売する、というものでした。不動産の所有権がなく、利用権を販売したということです。これは現在のデスティネーションクラブといわれる、ポイント付与型の利用権に近いものです。
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これを皮切りに、余暇を楽しむ文化が根付いている米国では徐々にタイムシェアの概念が支持されるようになり、1980年代に入ると「タイムシェア法」という州法も制定され、買主の権利がより強固なものになっていきました。またそれと同時に、マリオットやヒルトンという世界展開をしているホテルブランドが、そのノウハウ・サービスを活かしてタイムシェア事業に参入したことが爆発的な広がりの契機となり、現在に至っています。
取り扱い業者が少なく、流通に制限がある点にも注意を
現在のタイムシェアは、れっきとした「不動産」であり、法的に登記もされますので、譲渡や売買・相続も可能です。ただし、注意すべき点としては、売却に関しては一般の不動産マーケットほど売買を取り扱うエージェントが存在せず、市場が整っていません。権利としては不動産所有権の売買になるため、売買手続き自体は通常の不動産とさほど違いがありません。売買手続きに違いがないにもかかわらず、売買価格は安いものだと数百万円、高くても1千万~2千万円の商品なので、物件価格に対する仲介報酬を収益源とするエージェントにとっては、タイムシェアを扱うメリットがないのです。
法的には売買は全く問題なく可能なのですが、それを取り扱う業者が圧倒的に少ないことで、流通に制限が出てきてしまう、ということを理解して購入されることをおすすめ致します。一概には言えませんが、一般的には購入した価格の半額程度になってしまうことが多いようです。
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「タイムシェア」とは、いわゆる「不動産所有権付きリゾートクラブ会員権」であり、1年間を52週で分けて、そのうちの51週を販売しているという、1/51の小口化された不動産所有権です(冒頭でお話しした初期のタイムシェアは50/52週を販売していたようです)。購入した「週」に関しては毎年確実に利用することができますが、商品によっては、ご自身の購入物件を「ホームグラウンド」と設定し、そのホームグラウンド施設を利用する権利をポイント化した後、同系列の施設への振替利用が可能になるという相互施設利用ができるように商品設計がなされています。一箇所に縛られず、リーズナブルに余暇を過ごしたいという方にはおすすめの商品です。
投資的な目線ではなく、あくまでも自己利用をメインでお考え頂く必要がありますので、ご自身のライフスタイルに合わせてご検討されてはいかがでしょうか。
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