今回は、「高額療養費制度」の利用手続きについて見ていきます。※本連載は、税理士で、小関勝紀税理士事務所代表、株式会社インターティ・エス・オー代表取締役の小関勝紀氏が監修した『夫にもしものことがあったとき妻が読む本』(大泉書店)から一部を抜粋し、夫が亡くなったときに妻が行う手続きについて解説します。

自己負担額が一定額を超えると、医療費が払い戻される

<期限 2年以内>

 

「高額療養費制度」とは、病気やケガの入院や治療代が一定額を超えて高額になったとき、申請により支払った医療費の一部を返還してもらえる制度です。ただし、差額ベッド代、食事代、保険のきかない治療については対象外となります。

 

該当する世帯には、診察から3カ月程度で市区町村から申請書が送付されます。申請できる期限は、診療を受けた月の翌月1日から2年以内です。

1カ月の自己負担額の上限は、条件によって異なる

高額療養費は、同一世帯の医療費の合計額で申請します。1カ月の自己負担限度額は、世帯収入によって異なります。

 

 

<保険加入者が70歳未満の場合>

2万1000円以上の負担が複数あれば計算対象に

 

自己負担限度額は、自営業は年間所得、会社員は標準報酬月額を基準に5段階に分かれます。限度額に達しなくても、同一世帯または複数の医療機関でひと月に2万1000円以上の負担が2件以上あるときは、合算して限度額を超えた分が支給されます。

 

<保険加入者が70歳以上の場合>

現役並みの収入がある人は自己負担限度額が高くなる

 

外来は個人単位、入院した場合は外来+入院を世帯単位で1カ月分の医療費を計算します。自己負担額は、①現役並み所得者②一般③住民税非課税世帯(低所得Ⅱ・Ⅰ)に分かれており、収入が高いほど多くなります。

4カ月目以降が、自己負担限度額が軽減

同じ世帯で診療を受けた月以前の12カ月に、高額療養費の支給を3カ月以上受けた場合は、4カ月目以降から自己負担限度額が軽減され、一定の金額に抑えられます。これを「多数該当」といいます。

 

[図表]高額医療費の計算方法

 

<用語解説>「健康保険」とは

 

日本では、国民皆保険制度により、職業や年齢に応じた公的医療保険に加入が義務付けられている。この制度により、誰でも1割〜3割の自己負担で病気やケガの治療を受けることが可能。

夫にもしものことがあったとき妻が読む本

夫にもしものことがあったとき妻が読む本

小関 勝紀

大泉書店

もしも夫に何かあったら・・・ 病気や事故、突如としてかけがえのない人に先立たれてしまったとき――心の支えを失い、今後の生活設計について不安も多い渦中、妻が進める手続きについて解説します。 生活に必要な名義変更…

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