「更地」を一箇所にまとめて土地評価額を下げる
土地を複数所有している地主の案件で、ユニークなケースがあったのでここで紹介しておきます。下記の図を見てください。全体で1000㎡ある土地のうち、貸地が図のように点在していました。この土地全体の評価額は1㎡あたりの路線価を50万円とすると、3億6000万円になります。
更地部分 合計600㎡×50万円/㎡=3億円
貸地部分 合計400㎡×50万円/㎡×(1-借地権割合0.7)=6000万円
この土地について貸地と更地を入れ替えて、一方に更地だけを集め、もう一方に貸地だけを集めました。すると、更地の部分に広大地評価が使えるようになります。広大地評価額は、路線価×広大地補正率×面積で求められます。また、広大地補正率は、0.6-0.05×面積/1000㎡です。
さて、その計算によって更地の評価額がいくらになるかというと、1億9775万円に大幅ダウンします。実に1億6225万円の減額です。パズルのように貸地と更地を入れ替えるだけで、これだけ評価額に大きな差が出る事例というのは確かに特殊です。しかし、この半分、もしくは4分の1の規模などで見れば、用途を整理するだけで評価減につながる土地は意外に多くあるものです。複数の土地を所有している人は一度、自分の土地を図面に描きだし、パズルのように組み替えてみるのも1つの手かもしれません。
貸地を整理しないと自由でない財産を持ち続けることに
ただし、貸地を整理することは一筋縄ではいかないことだけは知っておいて欲しいと思います。貸地というのは、自分の土地に他人(借地人)の家が建っている土地です。それを整理しようと思うと、借地人に立ち退いてもらわなければなりません。地主とはいえ借地人の権利も強いので、ただ頭を下げただけでは了承などしてくれるはずがありません。
借地人のもとを何度も訪れては説明し、説得し、交渉する苦労といったら、並大抵のことではありません。しかし、このようにして昔からの貸地の整理をしていないと、借地人も地主も自由にならない財産を持ち続けることになりますので、このタイミングで整理することをお勧めしました。お客様の不良資産を優良資産に変え、さらには評価が下げられるという提案をすることで、意思決定を促すのが税理士の仕事だと考えています。