今回は、賃貸経営をビジネスと捉える「勝ち組大家」の行動学について見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役・沖野元氏の著書『大家さんのための客付力』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、客付けを成功にさせるために必要不可欠な、大家の営業戦略を紹介します。

業者営業で集めた名刺をリスト化し、一斉メールを配信

前回の続きです。

 

さて3点セットを作ったら、それを訪問する業者の数だけ持って営業に向かいます。このときの流れは先に示しました。ここでは業者営業に行った後の作業についてお話しします。

 

1.業者営業で集めた名刺をリスト化する→エクセルにまとめる

2.メールソフトを使って同報送信メールが送れるように設定する

3.物件についての情報を随時メールする

4.メールだけでなく、電話で伝える

5.ときどき訪問する

 

この3~5の作業については後ほどさらにくわしくお伝えします。ここで重要なことは、名刺をリスト化して何か連絡があれば一斉メールで送るようにする仕組み作りです。この仕組みによって、よりスピーディに物件についての情報を送ることができます。

 

ではどういう内容を送るのかということですが、たとえば次のような時に次のような内容を送るとよいでしょう。

 

●賃料や管理費を変更したとき、その変更内容

●外観写真や室内写真を撮影したとき、写真を添付して

●エントランスに飾り付けをしたとき、その写真を添付して

●その他、何らかのお知らせ等(随時)

 

こういうことを計画的に行っている大家さんはほとんどいないでしょう。賃貸経営をビジネスとして捉えるならぜひやってほしいところです。

「内見勝負日」の土日は、連絡が受けられる体制に

まず、下の図表をご覧ください。

 

[図表]大家さんの週間計画

 

これは空室がある場合の大家さんの1週間の行動計画です。上が業者の1週間の動きで、下がそれに対応した大家さんの動きとなります。

 

まず不動産業者にとって土日が「内見勝負日」だということは、おわかりかと思います。ということは、空室がある物件を持つ大家さんにとっても土日は「内見勝負日」だという認識を持つ必要があります。私の知っている大家さんで、登山が趣味の人がいます。私はその大家さんに、空室があるうちはなるべく土日は山に行かないようにと言います。山だと携帯電話がつながらないことが多いからです。土日に連絡がつかないとチャンスを逃すことがあります。

 

私がかつて某大手不動産会社で賃貸の客付けをやっていたときには、土日のアポイントが埋まっていないと帰れませんでした。当時の店長から「土日のアポを埋めるまで帰るな」「再案内でも何でもとにかく土日のアポを埋めろ」とキツく言われていたからです。

 

でもこれはめずらしいケースではありません。どこの不動産業者も競争が激しいので、目標やノルマを達成するために必死です。そして、営業マンは土日に必ず申込みを取って売上げを上げるように店長からものすごいプレッシャーをかけられます。

 

ですから、お客さまをご案内して申込みを取れる段になり、お客様から「あと3000円まけてくれたら申し込む」などと言われたとします。営業担当者はすぐに大家さんに電話します。しかし、連絡が取れず折り返しの電話がないとなると、その日に申込みを取ることが難しくなります。そういう場合に営業担当者は別の物件をお客さまに勧めます。ですから、大家としては空室があるうちはとにかく土日は連絡のつくところにいる必要があります。

大家さんのための客付力

大家さんのための客付力

沖野 元

週刊住宅新聞社

本書では、今まであまり明かされることのなかった不動産賃貸の仕組みを、わかりやすく解説し、「大家検定」人気講師が17年間培ってきた満室にするノウハウを大公開しています。 今まで空室対策を行っても効果がなかなか出ない…

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