カードローンによる「事故」の時効は5年
神山:不動産投資にとっての融資は「レバレッジ」を利かせるために欠かせません。簡単に説明すれば、レバレッジはテコのことです。小さな力で大きなものを動かす――そんな意味ですが、少ない元手で大きな投資ができるのが魅力です。
今、サラリーマンであれば年収の8倍くらいの融資を受けることができます。銀行によっては、人によっては年収の20倍から30倍も融資をしています。融資条件でいえば、サラリーマンに関してはルールが統一されています。不動産業者も、「この人の年収なら、これくらいは借りられるな」と判断できると思うのです。
ジュン:これが、先ほどの話にあった「簡単に借りられる」ということなのですね。
タカ:でも、僕たちのような不安定な職業ではサラリーマンのように簡単に借りるのは無理ですよね。
神山:それは事実です。自営業者は、サラリーマンのように簡単にはお金が借りられません。借りるためには、先ほどもお話しした、まず黒字の決算です。その数字も高ければ高いほど優位です。
金融機関にとっては、その人が納税をいくらしているのかが重要なポイントになります。
自営業者は家計の按分が難しいところですが、そこをしっかりしておけば、むしろ信用ができる優良な事業主であることがアピールできます。
税金をきちんと払って売り上げを上げていることと、借金をしていないことも大事です。基本的には年収の8倍で計算して、自宅や車のローンなども引かれます。カードローンも信用情報で見られます。
怪しげなところ、例えばサラ金からお金を借りていたら、「よほど苦しい時期があったのかな?」という印象を持たれてしまいます。すべて記録に残っているわけですから。カードローンによる事故の時効は5年です。事故があって、それが解決されても5年は記録が残ります。
タカ:事故とはなんですか?
神山:事故というのは、例えば携帯の料金をカードの引き落としにしておき、うっかり払い忘れてしまうケースで、それが2回、3回と続けば事故扱いになります。簡単に事故履歴が残ってしまうのです。
ジュン:学生の頃に滞納したことがあります……。問題ですか?
神山:昔の話であれば大丈夫ですよ。これは注意すべきポイントです。とはいえカードはたくさん持っていても問題はありません。
事故さえなければ、何も問われることはないということです。こういったポイントをすべてチェックすることと、あとは金融資産です。貯金は多ければ多いほどいいです。
銀行員は「お金を持っている人」に貸す性質がある!?
ヨシト:いくらくらいあったらいいでしょうか?
神山:物件価格と同じだけ融資を受けることをフルローン、物件価格にくわえて諸費用分まで借りることをオーバーローンといいますが、サラリーマンがフルローンやオーバーローンを組みたいときは、それこそ「3000万円持ってます!」「5000万円持っています!」と預金を見せることにより、多額の融資を引き出せます。銀行員はお金を持っている人にお金を貸す体質があります。
タカ:お金を持っているなら「貸す必要がない」と判断するのかと思っていました。
神山:それは預金担保みたいなイメージでしょう。銀行からすれば5000万円貸すのであれば、すでに5000万円持っている人に貸すのがもっとも安全です。それゆえに貯金は多ければ多いほどよく、有価証券よりも現金がもっとも効果があります。現金は流動性が高いからです。
ジュン:へえ!
神山:そのため不動産投資をはじめるためには、徹底的に資産を洗い出しましょう。貯金や株、保険も返戻金で計算します。例えば親が持ち家でローンがなければ、それも資産として加えることが可能ですし、子供の定期預金や学資保険も積み上げていきます。
そうすることにより、使える現金は1000万円ほどしかなくても、金融機関に提示できる金額が数千万円になります。保険を足して、実家が将来的には自分のものになるという話もします。
ヨシト:そうやって数字を盛るのですね。
神山:噓をつくのはいけませんが、できる限り金額を大きく見せる努力は必要ですね。そうすると5000万円、6000万円を銀行に借りに行っても、「この人じゃあね」というように安易な無視はされません。
それは不動産業者に対しても同じです。現金1000万円しか持っておらず、そのうちの「300万円しか使いたくない」という人が「アパートを買いたい」と来るよりは、数千万円の見せ金を持っている人のほうが「この人は買える人だ」と本気で考えてもらえます。それが使えるかどうかは別にして、見方が違ってきます。
ジュン:知らないことだらけで勉強になります。
神山:このように全く何も知らない人が準備としてまず何が必要かといえば、どれだけの資産を持っているのかを確認することです。