前回は、投資用の不動産探しにおける、自分ならではの情報ルートの作り方を説明しました。今回は、不動産業者との信頼関係構築に不可欠な「素早い意思表示」について見ていきます。

担当者からメールが来たら必ず返事をする

ヨシト:知り合った業者さんとは、どのように付き合えば物件が買えるのでしょうか?

 

神山もちろん会社によって異なりますが、メルマガなどで自社の物件情報を積極的に流してくる会社があります。それが一斉メール的なものであれば、無視をしてもかまわないのですが、担当者から直接のメールの場合は必ず返事をしたほうがいいです。情報をもらったら知らんぷりするのではなく、しっかりとレスポンスを返すことです。

 

もしも電話で連絡が来た場合は、かなり良い情報だという可能性が高いです。そのようなときは、その場ですぐに応対することが大切です。おそらく他のお客さんも連絡を待っている状況でしょうから。

 

もし、食指が動かなければ「それはちょっと価格帯が合わないので……」と断るなり、もしくは「物件を見たいのですぐに資料を送ってください!」といった素早い反応をしておけば、業者さんからも、「この人はしっかりした人だ」「買える人だ」と受け止められます。

 

タカ:迅速なレスポンスが求められるのですね。

 

神山:そうですね。全くアクションがない人は業者さんも追わないものです。買える人の特徴をいえば、「とにかくすぐ見たいです!」といった行動と決断が早い人です。即決に近くて決まった人も何人かいます。

 

やはり、そのような人は物件の概要を見ただけでピンとくるものがあるのでしょう。あとは場所です。地図でわかります。

 

ジュン:グーグルストリートマップですか?

 

神山:そうです。情報が来た段階で、自分でもグーグルマップで確認して、おおよそこんな感じだなと判断して、すぐに行動します。とりあえず一番手で押さえるのが先決です。その後でどうにでもなるものですから。「ちょっと融資が希望している額で出なかったので今回は残念ですがあきらめます」というふうに、断るのは簡単です。

 

良い物件ほど本当に足が早いです。情報が出てその日に決まったりすることもあります。たとえ1億円を超える物件でも、その場で即決して買う人がいます。

 

タカ:すごいスピードですね!

売り側となる業者は立場が強い!?

神山:例えば、電話で「こんな感じの物件ですよ」と情報が来て、「では今すぐ資料を送ってください!」と伝えて、資料をメールで送ってもらいます。

 

その人が瞬時に確認をして「満額で押さえてください!」とお願いをすれば、業者さんは買付証明書を作成して、本人に会って判子をもらいます。それくらいの速いスピードで進んでいます。

 

ヨシト:なんでそんなに早い動きになっているのでしょうか。

 

神山:不動産業者からすれば、売り物件があれば、いくらでも人を選んで調整できるのですが、今は物件が高騰しており、良い物件は少ないのです。そのため買い側は立場が弱く、売り側の業者は立場が強いです。とくに買い側の仲介だったら立場が弱いです。

 

タカ:なるほど。理解できました。

 

神山:そのような理由から買い側の仲介はとにかく急がないといけません。一番に見て、「購入したいので、止めておいてください!」とお願いします。

 

業者の立場からすれば、そこで融資の手配など、様々なことがスタートします。その決断を一刻も早くすることが「買える」ことに結び付きます。もしもダメな場合ならハッキリと断ってほしいのです。それが信頼関係を持つということです。

 

ジュン:はっきりとした意思表示ですね。

 

神山:よく業者さんと知り合ったときは、「いろんな個人情報を話しておいたほうがいい」というのがありますが、それも相手によりけりです。会ってみて、何となく信用できなさそうな人もいますから、やたら会わないほうがいいと思います。

 

初心者の場合は、「良い情報があればどんどん買っていきたい!」という人、ヨシトさんのように、現役時代が比較的短く「まとまった収入のあるうちに買っておきたい!」といった人であれば、どんどん会っておいてもかまいません。

 

とにかく会って話を聞いて、信頼できそうだと思う業者さんなら、いいと思います。

 

自分の個人情報をすべて見せて、大きな買い物を託すわけですから、不動産のことだけではなくて、いろんな話をしてもいいでしょう。

 

ヨシト:わかりました。

 

神山:会って話を聞いて、その中で、「この人なら信頼できそうだ!」という業者さんを選びます。できれば信頼できる人の紹介が望ましいです。初めて会う業者であれば、慎重に話して、信頼できるかどうか判断しましょう。

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『「有名人」のための資産形成入門』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「有名人」のための資産形成入門

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安次嶺 格

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