まず「土地の境界線」を確認
神山:実際に手に入る物件の資料は、次のような内容になっています。
●物件資料
・物件概要
・修繕履歴
・レントロール(家賃明細表)
ヨシト:これは不動産業者からもらうのですか?
神山:これらは不動産の仲介業者に要求すればもらえます。修繕履歴やレントロールを見て、ある程度の物件はペーパー上で知ることができますが、やはり実際に現地へ行ってみて確認すべきです。
物件見学時のポイントは、基本的なところでいえば、まずは土地の境界線を確認することです。土地の境界を越境していたりすると大きな問題になります。売るときは、そこと話し合いをつけなくてはいけませんから。
タカ:そんな土地も多いのですか。
神山:都内では古くからの住宅地にありがちです。あとは管理状態、建物の状態もチェックしましょう。例えば、レントロールや修繕履歴といった資料をもらっていても、実際に見てみると違う……なんてもこともよくあります。
「築10年ぐらいだからいいな!」と思って見に行くと管理状態が悪くてボロボロだったりします。ゴミがそこら辺に散らばっていてひどい状況だったりしますから、数字上だけではなく、実際の管理状態をよく確認しておくべきです。
ジュン:必ず一度は見に行くべきですね。
処理費用の発生する残地物等がないか?
神山:これは管理会社を替えれば改善されるのでしょうが、物件によってはひも付きで、管理会社を替えられないケースもあります。いずれにせよ、たとえ物件がすごく荒れていたとしても、それが解決できるのであれば問題ありません。ただし、その状況を知っておいたうえで買ったほうがいいということです。
急いで物件を見ずに購入して、いざ現地へ行ってみたらゴミだらけだったなんてことがあります。実際に残置物の処理にお金がかかります。
例えば、古くて使わなくなった自転車や布団がたくさん捨ててあったりすると、それを処分するにも意外とお金がかかり馬鹿になりません。また、今はリサイクル法がありますので、家電を引き取ってもらう料金も必要です。とくに放置された家電は厄介ですから知っておいたほうがいいと思います。
タカ:勉強になりました。
ファミリー向け、単身向けで重視する環境は異なる
神山:また、暴力団事務所が近くにあると、売るときになって困ってしまいます。
ネガティブな要素では、ファミリー物件であれば学区の問題や病院があるかなど、駅だけではなくて、ファミリーならではのチェック要素が増えます。
これが単身者向けになると、駅に急行が停まり、朝なら3分置きに電車が来るなどが重要視されます。例えば、夜遅くまで深夜バスが走っていて、東京駅から夜中でも動けるような利便性の良さのほうが、単身者には強いです。あとは銀行が近い、夜遅くまでやっているコンビニなどがあると魅力です。
そのように住む層によって重要視する環境は違ってきますから、そこまで押さえておくと後で潰しがききます。売るのもいいし、所有してもいいということです。