トタン屋根の継ぎ目や端がめくれていないか?
(2)建物管理のチェックポイント
空き家管理の建物管理について整理します。ここでは、「所有者責任に及ぶ恐れのあるような危険個所」「防犯・防火」「建物や設備を長持ちさせる」の3つに分類してそのチェックポイントになる代表的なものを解説します。
①所有者責任を問われるおそれのある状態を見極めるためのチェックポイント
瓦のずれや外壁の浮き、タイル壁などの欠けなどがありますと、台風や地震の際もしくは時間の経過とともに少しずつずれて突然落下してきます。隣の車に当たって傷をつけたり、通行人がケガをしたりします。次に述べる事柄があれば、所有者に報告して速やかな対処を求めましょう。
ⅰ)屋根
最初は目視による確認を行います。次に建物から少し離れた場所から双眼鏡で屋根を見てみましょう。チェックポイントは、次の通りです。
a.瓦屋根の場合
棟(屋根の一番高いところ)の瓦が波をうったようになっていないか確認します。直線になっていない場合は、雨が浸透し下地木が腐朽している恐れがあります。さらに「棟瓦」の隙間から雨水が浸入することにより腐朽が進行しずれ落ちる原因になります。
次に、瓦のずれや欠けたところがないかを確認します。特に棟瓦の下に板チョコを3段から5段くらい並べたような「のし瓦」は、軽くてずれやすいため、早期の発見がポイントです。
b.トタン(カラー鉄板)屋根の場合
継ぎ目や端のほうがめくれていないか確認します。少しめくれかけていたら、雨水の浸入のために野地板と呼ばれる下地が腐朽して釘がぬけやすくなり、台風や突風で吹き飛ばされる危険性が高くなります。
c.カラーベスト(スレート)屋根の場合
ひびが入った箇所がないか確認します。ひびが入っている場合、何かのきっかけで落下することがあります。
モルタル壁は光を当て、浮いていないかをチェック
ⅱ)外壁
建物の周囲を周って目視してください。見えにくいところは双眼鏡を使用します。もし隣の敷地に入らないと見えない場合は、必ず隣地許可を得てください。許可が得られず点検ができないような場合は、依頼者に報告します。
a.モルタル壁の場合
光を当てて壁が浮いたように(壁面がまっすぐではない状態)なっていないか確認します。そのような状態であれば、下地とモルタルが剥離した状態になっており、突然壁が落下するおそれがあります。大きなひび割れの有無を確認します。ひび割れからの雨水の浸入は、壁の浮きを引き起こします。
b.タイル壁の場合
タイル壁もモルタル壁と同じようなポイントや、欠けたところがないか確認します。タイルの欠けから雨水が浸入し、タイルが浮いて落下につながります。
c.トタン(カラー鉄板)の場合
めくれかけていないか確認します。また釘が浮いていないかもチェックします。
ⅲ)樋(とい)
樋が外れたり、金物が外れたりしていないかを確認します。
ⅳ)バルコニー
手すり(鉄骨)の根元の腐食などを確認します。手すりの根元が断絶し上部だけでつながっている状態は、手すりの落下の原因となります。
ⅴ)門・塀
錆びたり壊れたりしていないかを確認します。また、ブロック塀の目地が割れ、ブロックとブロックの間が開いているように見える場合は危険です。何らかの原因で倒壊する恐れがあります。
防犯・防災上のチェックも忘れずに
②防犯・防災上のチェックポイント
ⅰ)鍵について
戸締まりのチェックは当然ですが、サッシに補助錠(ホームセンターなどには粘着性テープ等で取り付ける手軽なものもある)を付けることにより侵入者を防ぐ効果が期待できます。
ⅱ)センサーライト
空き家に通電してある場合は、庭などにセンサーライトを設置しておくと、防犯対策に効果があります。
(注)動物に反応してしまうこともあります。
ⅲ)雨戸のない窓
出窓などで雨戸がついていない窓は、台風などによる飛来物で窓ガラスが割れる危険性が高いので、中から薄いベニア板のような物を剥離性が高い養生テープ(養生後のテープを剥離する際に糊残りが少なくきれいに剥がせるもの)等で留めておくと、被害を軽減できる可能性があります。
ⅳ)戸締り
作業終了時において、窓やドアの施錠忘れや消灯忘れなどがないようにしなければなりません。誤った施錠方法により、雨戸を動かすと開錠されてしまうケースがあります。