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物件価値の低下、第三者の占有・・・空き家の保有で抱えるリスク

今回は、物件価値の低下、第三者の占有など、空き家の保有で抱えるリスクについて見ていきます。※本連載は、一般社団法人 大阪府不動産コンサルティング協会(会長・米田淳氏、理事・井勢敦史氏・岡原隆裕氏、会員・芳本雄介氏/他)の編著、『空き家管理マニュアル』(建築資料研究社)の中から一部を抜粋し、近年深刻化する空き家問題について、その「管理」の具体的なポイントをご紹介します。

劣化が早い「人が住んでいない空き家」

前回に引き続き、空き家を保有することによる所有者リスクについて説明します。

 

②建物の価値の低下リスク

 

人が住んでいない空き家は劣化が進みます。壁や畳のカビや湿気による腐食、屋根や木部の老朽化が進行します。また、水道の通水が無いために、給水管の内部がサビついたり、設備機器が劣化したりします。

 

適正な管理がされていない空き家では、次のような事態が発生する可能性があり、建物の価値を引き下げます。

 

●建物の密閉状態が続くことにより、湿気等の要因が重なってカビの異常繁殖がおきます。

●タンス・ソファーなど家具の傷み、フローリングのヒビ割れ、畳の腐食などがおこります。

●玄関周りの部分朽廃や、各ドアに歪みが現れます。

●シロアリはもちろんのこと普通の黒いアリもこの放置空き家の状態を好みます。

●流し台や、風呂場、洗面所などの排水口内やトイレの溜水部の水が蒸発し、悪臭の原因になったり、害虫や蛇、ネズミなどの入り口になったりします。

●蜂の巣、動物の棲み家となることもあります。

●集合住宅では鳩被害も多く報告されています。

●窓・サッシなど開口部周りのコーキングの劣化で、雨水の浸入することもあります。

●ネズミが建材や家具、電気や電話の配線などをかじり、電気設備を故障させたり火災を発生させたりする場合があります。

 

なお、空き家を管理していても、よほどの手間やコストをかけない限り建物の価値が維持できるわけではなく、劣化を緩和する程度の効果しかありません。

 

③第三者の占有リスク

 

空き家の管理を引き受けた者(管理者)が、所有者に無断でその空き家を第三者に賃貸した場合、管理者と第三者(借り主)との間では、借り主の善意悪意にかかわらず賃貸借契約は有効に成立しますが、所有者は、借り主に対して明渡しを求めることができます。

 

しかし、借り主が継続的に使用し、賃料を支払っていた場合には、善意10年、悪意20年で、借り主は、賃借権を時効取得します。このとき、所有者は賃借人に対して明け渡しを求めることができなくなります。

相続トラブルや権利分散のリスクも

④自然災害に対するリスク

 

地震や台風等、自然災害による建物の毀損のリスクがあり、空き家が火災保険や地震保険で担保されていない場合、もしくはこれらの保険金額を上回る損害が発生した場合は、資産価値等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤不動産価値の下落リスク

 

住宅市場はすでに供給過剰です。2019年には日本国内の総世帯数がピークに達し、空き家の増加に拍車がかかると予測されています。人口の集約が図られる街や住まいに魅力的な地域など、他と差別化されたエリアを除けば、基本的に地価のトレンドは下落方向にあり、土地を保有し続けることがリスクになる可能性があります。

 

⑥相続トラブル(争続)、権利分散(共有)のリスク

 

個人資産に占める不動産の割合は50%以上で、中でも自宅がその大部分を占めると言われています。個人が所有する空き家は、被相続人の空き家所有者から相続に承継される相続財産ですが、相続の過程において、相続人の間での紛争は多発しています。

 

また、一時的に共有によって紛争を避けることも行われていますが、問題解決を先延ばしにしているに過ぎないような場合もあります。

 

⑦その他のリスク

 

外部不経済が原因で起こる近隣とのトラブルや、そのトラブル等による所有者の精神的な負担も所有者のリスクに含まれます。

一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会 会長
大丸ハウス株式会社 代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、二級建築士
 

大阪大学基礎工学部卒。きりう不動産信託株式会社顧問、一般社団法人全国不動産コンサルティング協会専務理事、一般社団法人全国空き家相談士協会専務理事。平成27年12月より大阪市空家等対策協議会委員。
【主な著書・寄稿等】
著書:『新・不動産信託の活用術』(住宅新報社、2008年)、『不動産の信託』(共著、住宅新報社、2005年) 
寄稿:『地代・家賃と借地借家』(住宅新報社、2014年)、『事例でわかる!コンサルティングによる不動産ビジネス』(週刊住宅新聞社、2012年) 
解説・監修:『不動産コンサル過去問題集』(住宅新報社、2006年~2017年毎年)、事例提供/『居住福祉産業への挑戦』(東信堂、2013年)、『実例にみる信託の法務・税務と契約書式』(日本加除出版、2011年)など

著者紹介

一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会 理事

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、公認ホームインスペクター、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、木材アドバイザー 

司法書士事務所・不動産コンサルティング会社を経て、現在「住生活コンサルタント」として活躍。
誰もが安全・安心・健康で快適な住生活を営むことができる環境形成を目指し、不動産流通市場の透明化に関する仕組みづくりや地域の活性化、空き家問題などに精力的に取り組む。
また「第三者の立場」で消費者向け、事業者向けの講演・研修・コンサルティングで全国を飛び回る傍ら、業界紙等への執筆も行う。
現在、「新建ハウジングプラスワン」において「小さな工務店のストックビジネス最前線」を連載中。

著者紹介

一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会 理事
株式会社つばさ資産パートナーズ 代表取締役

公認不動産業務コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士、CPM®(米国不動産経営管理士)、賃貸不動産経営管理士 

立命館大学法学部法律学科卒。不動産相続コンサルティングを皮切りに、不動産業務、相続サポート業務を行っている。相続に強い専門家ネットワークを構築しているのも強み。
空き家解消の取組みとして一括賃料前払いサブリース方式を使い、空き家活用や空き家の買取り、デザイナーズ戸建賃貸を新築する投資事業などにも取り組んでいる。不動産オーナー向け勉強会「つばさ資産塾」を主宰。
【講演歴】クレオ大阪西(大阪市立男女共同参画センター)、大阪市立住まい情報センター、岡山リビング新聞社、ほか多数。

著者紹介

一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会 会員
株式会社プロブレーン 代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士 

「思いを築く不動産のCreative Company」をモットーとし、モノだけではなくお客様の思いにもフォーカスし不動産の困りごとを解決します。心豊かな暮らしを育むために和やかに家系学を学ぶ、「幸運を拓く 家族の法則」講座を主催。
【得意分野】①コンサルティング事業(不動産運用、賃貸経営、空き家、相続、信託、債務整理)②不動産再生事業(空き家の借上、老朽アパートの引取り、借地権付建物の引取り)③仲介事業・売買事業(土地、住宅、収益マンション、収益ビルの仲介・売買)
【寄稿】『地代・家賃と借地借家』(住宅新報社、2014年)、『事例でわかる!コンサルティングによる不動産ビジネス』(週刊住宅新聞社、2012年)

著者紹介

連載空き家820万戸時代が到来――空き家を持つ人のための管理マニュアル

本連載は、2017年1月15日刊行の書籍『空き家管理マニュアル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

空き家管理マニュアル

空き家管理マニュアル

一般社団法人 大阪府不動産コンサルティング協会

建築資料研究社

2016年5月26日、「空家対策等の推進に関する特別措置法」が全面施行されるなど、空き家問題を取り巻く状況が変化してきている。 不動産事業者はこの状況にどう立ち向かっていくべきか? 本書は、空き家対策の3本柱「利活用」…

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