焦らず、じっくりと時間をかけて準備する
ビジネスアイデアを選定する際は安易にならず、真剣に、かつそのクオリティは稚拙にならないことである。そのため、次の3つのプロセスを連動させ、熟考し、具体化することが大切だ。
1 自己実現の目的を明らかにする
2 自分の強みを活かす
3 市場が求めているものを探し出す
そのうえで、焦らず、じっくりと時間をかけて準備することである。つまり、「拙速」は失敗の確率を高くするため、ビジネスアイデアを具体化した際は時間をかけて3つのプロセスを連動させ、熟考することである。
【図表1】ビジネスアイディアを選定する3つのプロセス
自分の能力を見極め、足りないものがあれば補完
例えば、私が起業を考え始めた年齢は40歳代後半であった。組織人として限界が見え始め、それでいて今まで培ってきたマーケティングや営業という仕事に未練を感じていた。そこで2年ほどかけて、自己実現となる北海道に貢献できること、そして自分の強みであるマーケティングと営業の領域を活かすことを考え、コンサルタントで第二の人生を再構築したいと考えた。
そして、この起業を実現するためには今までのスキルでは成り立たないと考え、ビジネススクールに入学し、MBA理論を習得したうえで起業した。その年齢は53歳だった。したがって、起業を考え始めてから創業までの期間は約4年ということになる。また、サンエコの太陽光事業は次章で解説するが、ビジネスアイデアから創業するまで1年を要している。
この長い時間を要して熟考し、準備してきたことが10年間を生き残る基盤になったと考える。その理由は起業したい、またはビジネスアイデアを選定するとそれを実現したいという欲求が強くなり、具体的に前に進めようという意識しか働かなくなるからだ。つまり、自分が考えたビジネスアイデアを実現したいという思いが強くなり、冷静な考えができないまま実行する人たちが多い。拙速は失敗の確率が高くなるだけである。
そのため、3つのプロセスを精査し、自分の能力を見極め、そこに足りないものがあれば、確実に補完させたうえで起業する。起業には多くのリスクがあり、かつ失敗したときの犠牲が大きいからだ。
また、事業は家族の協力があって成り立つものであるため、失敗は許されない。そのためにも、ビジネスアイデア、かつビジネスコンセプトの段階で時間をかけて熟考することである。