今回は、起業家に不可欠な「ウォームハートとクールヘッド」のバランスについて見ていきます。※本連載では、OFFICE KOM株式会社代表取締役・収益向上プロデューサー 小室雄次氏の著書『事業に失敗しないための起業家宣言 「顧客ゼロから起業10年で売上高20億円」の起業戦略論』(こう書房)より一部を抜粋し、「地域密着」「顧客満足」「継続的事業」を軸に、太陽光発電事業で売上高20億円を達成した著者の経験に基づき、成功する「起業戦略」を紹介します。

ビジネスプランと右脳&左脳の関係とは?

起業家のほとんどはビジネスアイデアが決まるとハートが熱くなり、同時に脳みそまで熱くなってしまう。そのため、ビジネスプランまで思い入れが熱くなったままで作り上げていくため、現実と乖離した偏ったビジネスプランになってしまう恐れがある。ビジネスプランは実現性を高めることであり、そのためには客観的な情報やデータを活用して分析や検証を繰り返していかなければならない。

 

ここで重要なことは、起業家にとって情熱と分析をバランスさせるという姿勢である。ビジネスプランにはサイエンス(論理)とアート(情熱・直感)の2つの要素が含まれているため、右脳(直感的思考)と左脳(分析的思考)の両方を機能させる必要がある。

 

私のSONYでの経験は、右脳である直感的思考であり、それだけでは最適な提案ができるマーケティングコンサルタントにはなれない、起業できないと考えた。そこで、ビジネススクールに入学した目的は、左脳である分析的思考を経営理論として理解することだった。

 

右脳と左脳をバランスさせることがコンサルタントには必要なスキルであり、最適なビジネスプランを立案するうえでもこの2つの思考で練り上げることが重要である。

 

【図表1】ビジネスプランを練り上げる姿勢

 

「熱い右脳」だけでは失敗する危険性がある

また、サンエコのビジネスプランづくりにおいても「すぐやる!」と即答したにもかかわらず、1年間という準備期間をもってプランづくりに没頭した。熱い右脳だけでは失敗する危険性があり、冷静な左脳を動かしながら熟考を重ねることでビジネスプランの完成度を高めることができる、と考えた。

 

特に、ビジネスプランを立案するうえで、理念やビジョンなどは熱い思いを表現しなければならないが、実現していくための戦略や仕組みは冷静な分析に基づいていなければならない。

 

起業とは大きなリスクへの挑戦である。そのため、ビジネスプランが重要であるわけだが、ビジネスプランは熱くなってもいけないし、冷めすぎてもよくない。だから、起業家に大切なのは、ウォームハートとクールヘッドを兼ね備え、ビジネスプラン上においてバランスさせることである。

本連載は、2017年2月4日刊行の書籍『事業に失敗しないための起業家宣言 「顧客ゼロから起業10年で売上高20億円」の起業戦略論』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

事業に失敗しないための 起業家宣言

事業に失敗しないための 起業家宣言

小室 雄次

こう書房

器づくりだけの起業プロセス・ノウハウではなく、実践から導き出した解決策とモチベーションの起業バイブル! 著者が起業したサンエコが太陽光事業に成功した秘訣は、「地域密着」「顧客満足」「継続的事業」。山あり谷ありの…

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