現実的かつ測定可能な目標を持つビジネスプランを
失敗するビジネスプランは、漠然とした目標を掲げるだけで、進捗状況をチェックするためのマイルストーンが設定されていないことが多い。ビジネスプランは経営の指針として活用するものであるため、事業を立ち上げた後、目標に照らして定期的に進捗状況をチェックすることである。現実に合わせて目標を再設定する必要も出てくるため、ビジネスプランを過度の厳密に運用することを避け、柔軟性を持たせることが重要だ。
ビジネスプランを作成する際には「売上の向上」といった不明確な目標ではなく、現実的かつ測定可能な目標とし、時間を限定した形で設定することである。このとき、収益、費用、資金繰りなどに関する具体的なマイルストーンとして設定した目標を達成することで組織や出資者へのモチベーションを向上するという効果も期待できる。
また、社員やメンバーが全員で目標を共有し、経験から学習した内容をビジネスプランに組み込んでいくことも大切である。加えて、強調したいことはビジネスプランを事業の立ち上げ前の準備作業として終わらせるのではなく、経営を導く指針として活用し、実践を通してプランを練り上げていく姿勢を持つことである。
例えば、サンエコはビジネスプランを立案する際、合宿をおこなって不透明な点の課題を明らかにし、それらを一つ一つつぶしながら1年という時間をかけてプランを組み立てていった。そのプランは初めて経験する事業であったため、事業として成り立たせることを優先した。つまり、売上・利益計画はかなりアバウトに「最低目標月間1システム」とし、それを達成するための具体的なアクションプランを立案し、そのアクションにおける結果を分析し検証するチェック作業を確実にすすめていった。
その理由は、太陽光事業がどれくらいの市場規模で、誰をターゲットにするかという組み立てまで完成させることができない新規事業であったからである。また、市場が確立していない業界の中で、経営資源が脆弱な企業が数値的な目標を明らかにしたところで絵空事に過ぎないと考えたからだ。それよりもやるべきことはプランで決めたことを確実にアクションして、それを検証したうえで次のアクションに活かしていくことが市場を構築していくことになると考えていた。
そして、財務計画については最低の販売目標をやりきることを期待値とし、運転資金が底をついたときは「この事業から撤退しよう」と覚悟を決めていた。その意味は1年間をかけてビジネスプランを組み立ててきたが、やるべきことはプランに沿ってやりきるだけ!という覚悟しかなかった。わが社の強みを活かせば、事業が成立するかもしれないという期待があったが、同時に現実として未経験の事業に対する最悪のリスクも感じていた。
PDCAをきっちり回していく
ビジネスプランは事業を失敗しないための基盤となるものである。したがって、この完成度が高ければ高いほどその確率は高くなる。
また、プランは事業開始後も現実とのギャップを分析する際の土台となるため、収益や費用などは必ず数値化し、計画においては時系列に組み立てておくことである。その組み立てたものと現実の実績を分析検証することで次の戦略に活かすことができる。それを繰り返していくことで事業に失敗しない確率が確実に高くなっていく。
それが「計画」→「実行」→「評価」→「改善」のサイクルを繰り返していく『マーケティングマネジメントシステム』の考え方である。
【図表1】マーケティングマネジメントシステム