本気度を理解してもらうことで、教えるほうも真剣に
起業家は素直な心が大切である。前回も書いたが、「起業家は教えてもらうという謙虚な姿勢」をもって素直に聞くことで、教えてくれる人は親切な気持ちで細部にわたって教えてくれる。そのうえで、「自分だったらどうする」という意識を持ってその教えを受け入れることである。それらの情報や知識が、自分らしい知恵を生み出す源になる。起業家はその努力を継続することである。
サンエコの事例において、最初に悩んだのは「主力メーカーはどこにするか」だった。当社は太陽光に関する知識が皆無に近かったことから、あらゆるネットワークを使って、3メーカーに商品勉強会をお願いした。その際はわが社にとって初めての商品のため、素直に聞くことができ、多くの質問を繰り返したことで「こいつら、真剣だな!」という印象を持ってもらえた。また、わが社の本気度を理解してもらうことで教えるほうも真剣になると考えた。同時に、3社を客観的に分析することができ、各社の強みと弱みを明らかにすることができた。
3社の分析結果から三菱電機をメインメーカーに決定したが、大きな要素は営業マンの協力的な印象だった。サンエコにとっては太陽光事業が初体験であり、勉強会をしてもらったとしても、その後の細かなサポートが必要と考えていた。また、プランを立案していくうえで、確認作業を繰り返していかなければならないため、その対応力があり、協力的なメーカーが最適であった。それが三菱電機であった。
重要なのは「ビジネスプランのクオリティの追求」
サンエコの強みである「売ることなら絶対的な自信がある」に裏付けられたマーケティングと、営業のノウハウを持っていること、そして勉強会から得られた情報とを融合させたうえで、ビジネスプランのクオリティを高めていった。
例えば、「生活体験型体感ハウス」はサンエコの知恵から生まれたものである。その目的は顧客が納得しやすいショールーム的演出であり、しかもローコストでできないかを追求した結果が形になった。この体感ハウスはその後、顧客ばかりでなく、メーカーや商社も来場し、「この演出はショールームより生活のリアリティがあって説得しやすい」という評価をもらった。
事業に失敗しないためには、ビジネスプランのクオリティを追求することである。完成度が高ければ高いほど、事業の成功確率が高くなる。その要素は正確な情報を収集することであり、そのためには素直な心で正しく聞く姿勢が重要である。そして、それらの情報は事業に応用させてプランに活かす。同時に、そのプランのクオリティを追求するために、自らの知恵を生み出す努力を繰り返すことである。