米国の給付付き税額控除「EITC」…所得や子どもの人数で変わる控除額と適用条件【国際税務の専門家が解説】

米国の給付付き税額控除「EITC」…所得や子どもの人数で変わる控除額と適用条件【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国で1975年に導入された勤労所得税額控除(EITC)は、その後の税制改正によって対象者や控除額が拡大し、現在では低所得の勤労者を支援する代表的な給付付き税額控除となっています。EITCの控除額は、所得や家族構成によって異なり、一定の所得水準までは所得が増えるほど控除額も増加します。今回は、EITCの導入後の主な改正経緯を振り返るとともに、2025課税年度の適用要件や具体的な計算例、日本で制度を導入する場合の課題について国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が解説します。

米国と日本では資産所得の把握方法が異なる

米国と日本の所得税制度を比較すると、所得の把握方法に違いがあります。

 

米国の確定申告書(Form 1040)には、所得欄の最後にAdjusted Gross Income(調整総所得)という項目があります。これは、各種所得を合算したうえで、一定の調整を行った後の所得金額です。日本の総所得金額とは計算方法や概念が異なりますが、所得全体を把握するための基礎となる点では共通しています。

 

米国では、利子所得や配当所得なども確定申告書に記載する仕組みとなっています。また、EITCの適用に際しては、投資所得に上限を設けることで、一定以上の投資所得がある人を対象から除外しています。

 

一方、日本では、預貯金の利子や上場株式の配当などに源泉徴収制度が適用され、確定申告をしなくても課税関係が完結する場合があります。そのため、勤労所得だけでなく、資産所得も含めて所得全体を把握するには、制度上の工夫が必要になります。

 

日本で給付付き税額控除を導入する場合、勤労所得が一定額以下であっても、預貯金の利子や株式の配当、不動産所得などを多く得ている人をどのように取り扱うのかが課題となります。

 

米国のEITCのように投資所得に上限を設ける方法も考えられますが、そのためには、対象となる所得の範囲や所得情報の把握方法を明確にする必要があります。

 

給付付き税額控除を単に低所得の勤労者への支援策として設計するだけではなく、資産所得も含めた公平な適用基準をどのように構築するかが、日本で制度を導入する際の重要な論点となるでしょう。

 

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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