(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後の住まいを考える際、利便性や住宅の広さだけでなく、管理のしやすさを重視する人もいます。長年暮らした自宅は愛着がある一方、建物の修繕や庭の手入れなど、年齢とともに負担を感じることもあるでしょう。近年は、見守りや生活支援サービスを備えたシニア向けマンションも選択肢の一つとなっています。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「管理費は高いけれど…」夫婦が納得した毎月9万円の負担

新居での生活が始まってから、修一さんが特に変化を感じたのは、住宅の維持管理に時間を取られなくなったことでした。庭の手入れや外回りの掃除をする必要がなくなり、設備の不具合があれば、まず管理窓口に相談できます。

 

「以前は庭の手入れや家の修繕など、何かとやることがありました。今はそういう心配が減って、夫婦で散歩したり、近所の店に出かけたりする時間が増えました」

 

美智子さんも、駅や病院、スーパーが徒歩圏内にあることを気に入っています。

 

ただし、家計の負担が軽くなったわけではありません。

 

夫婦の年金37万円から税金や社会保険料を差し引くと、手取りは月約33万円。管理費などの9万円に加え、食費や光熱費、医療費、交際費などを含めた毎月の支出は約35万円です。

 

月2万円ほどの不足は貯蓄で補っています。

 

総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月平均の可処分所得が22万1,544円、消費支出が26万3,979円となっています。

 

修一さん夫婦の年金収入は平均的な高齢夫婦世帯より多いものの、住まいにかける費用も大きくなっています。

 

それでも修一さんは、今の生活に満足しているといいます。

 

「以前の家でも、修繕費はかかっていました。急に何十万円も必要になることがありましたから。今は毎月の負担が見えるので、家計の計画を立てやすいんです」

 

一方、夫婦が慎重に考えていることもあります。将来介護が必要になった場合の住まいです。

 

シニア向けマンションには見守りや生活支援サービスがあっても、介護付き有料老人ホームのように介護サービスが一体的に提供されるとは限りません。修一さん夫婦が購入したマンションも、介護が必要になれば外部のサービスを利用する仕組みです。

 

「ここに住めば、老後のことは全部安心というわけではないんですよね」

 

夫婦は購入前に、介護サービスの利用方法や管理費の改定可能性、将来売却する場合の条件も確認しました。

 

さらに、今後介護施設への入居が必要になった場合に備え、貯蓄の一部には手をつけない方針です。

 

現在、修一さんは月に一度、マンションの共用ラウンジで開かれる交流会に参加しています。美智子さんも近所に新しい友人ができ、外出する機会が増えました。

 

「この年齢になって、家を手放すのは勇気がいりました。でも、今の自分たちに合った暮らしを選べてよかったと思っています」

 

高齢期の住み替えでは、購入費用や毎月の管理費に加え、将来必要になる介護サービスや建物の維持管理体制も確認しておくことが重要です。生活支援サービスが充実した住まいは、日常の負担を減らす選択肢となります。一方で、サービスの範囲や費用は物件ごとに異なるため、長期的な資金計画を立てたうえで、自分たちの暮らしに合う住まいを選ぶことが大切です。

 

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