(※写真はイメージです/PIXTA)

子育て中の家庭にとって、祖父母の協力は心強いものです。共働きで忙しい子ども夫婦を助けたいと、孫の世話を引き受ける高齢者もいるでしょう。ただ、預かる頻度が増えるにつれて、体力的な負担や自分の時間を確保できない悩みが生じることもあります。孫をかわいがる気持ちがあるからこそ、子どもに負担を打ち明けられず、無理を重ねてしまう場合もあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「孫はかわいい。でも、毎週はつらい」母が初めて伝えた本音

久しぶりに予定のない土曜日を迎えた久美子さんは、朝から洗濯を済ませ、午後は夫と近所の喫茶店に出かけました。

 

「何をするでもない一日でしたけど、こんなに気が楽なのかと思いました」

 

一方で、翌週も娘から頼まれたらどうしようという不安が消えません。

 

「また嘘をつくのも嫌だし、だからといって、毎週預かるのはもう難しいと思ったんです」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、日常生活で家族や知人から頼られる内容として「子や孫の世話」を挙げた高齢者は26.0%でした。高齢者が家族の子育てを支える場面は、決して珍しいものではありません。

 

翌週、久美子さんは奈緒さんに電話をかけました。

 

「この前、予定があるって言ったでしょう。あれ、本当は何もなかったの」

 

「えっ、どうして?」

 

「疲れていたの。毎週孫たちを預かるのが、だんだん大変になってきて。でも、断りづらくて……」

 

奈緒さんは驚いた様子でした。

 

「そんなに負担だったの? いつも楽しそうにしてくれていたから」

 

「孫たちと遊ぶのは楽しいわよ。でも、朝から夕方まで2人を見るのは、やっぱり疲れるの。日曜日も休まないと体がもたなくて」

 

久美子さんが正直に話すと、奈緒さんはしばらく黙っていました。

 

「ごめんね。お母さんが大変だって、ちゃんと考えてなかった」

 

奈緒さんによると、最初は勤務が重なる日だけ預けるつもりでした。しかし、母親が毎回引き受けてくれるため、いつの間にか土曜日の預け先として頼りきりになっていたそうです。

 

「私も、もっと早く言えばよかったんだけどね」

 

久美子さんは、今後は月に1回程度なら孫を預かれること、ただし体調や予定によっては断ることもあると伝えました。

 

奈緒さんは夫と勤務日を調整し、土曜日に利用できる地域の保育サービスについても調べ始めたといいます。

 

「娘も仕事があるから、すぐに全部解決するわけじゃありません。でも、毎週預かるのが当たり前という状態は変えられそうです」

 

久美子さんは、次に孫たちが遊びに来る日を楽しみにしています。

 

「無理をしなくていいと思ったら、また会うのが楽しみになったんです」

 

祖父母による子育ての支援は、親世代の仕事と家庭の両立を助ける一方、預かる側の体力や生活にも影響します。家族だからと遠慮して負担を抱え込まず、預かる頻度や時間、代わりの預け先について、早い段階から話し合っておくことが大切でしょう。

 

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