(※写真はイメージです/PIXTA)

年末年始は、離れて暮らす家族が顔を合わせる機会のひとつです。子どもや孫の帰省を楽しみに、早くから準備を始める親もいるでしょう。しかし子どもが家庭を持ち、孫が成長するにつれて、年末年始の過ごし方も変わっていきます。毎年続いていた習慣が途切れたとき、親子の間で思い描いていた家族の形に違いがあると気づくこともあります。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「来てくれるのが当たり前だった」息子夫婦の本音を知って

数日後、孝子さんは健司さんに改めて連絡しました。

 

「この前は無理に誘ってごめんね。でも、毎年の帰省がそんなに負担だったなんて、知らなかったの」

 

すると、健司さんはこれまで言えなかった気持ちを打ち明けました。

 

「帰るのが嫌だったわけじゃないよ。ただ、年末は仕事も忙しいし、帰省の準備もある。家に帰ってきたら、もう休みが終わる感じなんだ」

 

健司さんによると、子どもたちも成長し、年末年始には友人と遊んだり、自宅で好きなことをしたりしたいと言うようになったそうです。

 

さらに孝子さんが毎年用意していた料理についても、意外な話がありました。

 

「母さんがいろいろ作ってくれるのはありがたいよ。でも、妻も毎回『手伝わなきゃ』って気を使ってるんだ」

 

孝子さんは驚きました。

 

「そんなの、気にしなくていいって言っていたのに」

 

「そう言われても、ずっと座ってるわけにはいかないだろうし」

 

確かに、息子一家が来ると、孝子さんは朝から台所に立っていました。健司さんの妻も、そのたびに食器を運んだり、片づけを手伝ったりしてくれていたのです。

 

「私はみんなでにぎやかに過ごすのが楽しくて。向こうも同じ気持ちだと思っていたんですね」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、子どもがいる高齢者のうち、子どもとの「同居ではなく近居」を希望する人は32.8%、「同居も近居もしたくない」と答えた人は14.1%でした。親子の住まい方や望ましい距離感についても、考え方はさまざまです。

 

孝子さんは、これまでの帰省を振り返りました。

 

孫たちが小さかった頃は、帰省すると庭で遊び、祖父母と一緒に出かけるのを楽しみにしていました。しかし最近は、食事が終わるとスマートフォンを見たり、部屋で過ごしたりする時間が増えていたといいます。

 

「大きくなったんだから、当たり前ですよね。でも、私たちは昔のままのつもりだったんです」

 

その後、孝子さんは息子に「今年は家でゆっくりしてね」とLINEを送りました。健司さんからは「ありがとう。年が明けたら、みんなでビデオ通話しよう」と返信がありました。

 

修三さんとも話し合い、今年の正月は夫婦2人で近場の温泉に出かけることにしたそうです。

 

「寂しくないと言ったら嘘になります。でも、息子たちには息子たちの暮らしがありますから」

 

孝子さんは、次に会うときは泊まりがけの帰省にこだわらず、外で食事をするのもいいかもしれないと考えています。

 

「無理して来てもらうより、お互いに楽しめる形で会えたらいいですね」

 

子どもの独立や孫の成長に伴い、家族の集まり方は少しずつ変化していきます。長く続いてきた習慣ほど、変えることに寂しさを感じるかもしれません。帰省の頻度や過ごし方について互いの希望を伝え合うことが、無理なく交流を続けるための一歩になるでしょう。

 

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