(※写真はイメージです/PIXTA)

受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を利用すれば、将来の年金額を増やせます。ただし、受け取りを待つ間の収入や生活設計によっては、当初の想定と異なる結果になることもあります。制度の仕組みを十分に理解したうえで判断することが重要です。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「3年間でもらえた金額は?」計算して初めて気づいたこと

修一さんは年金事務所に相談し、受給開始時期による違いを確認しました。

 

65歳時点の年金見込額を月15万円として単純計算すると、68歳まで3年間繰り下げた場合の年金額は月18万7,800円です。月額では3万7,800円増える計算になります。

 

一方、65歳から受給していれば、3年間で受け取れた年金は合計540万円です。

 

「月に4万円近く増えるのはうれしい。でも、3年間でもらわなかった年金も、こんなに大きかったんですね」

 

修一さんは初めて、受給を遅らせた期間の金額を具体的に計算しました。65歳から受け取る場合と68歳から繰り下げる場合を比べると、単純な累計受給額が逆転するのは、80歳前後です。

 

もちろん、これは税金や社会保険料、年金額の改定などを考慮しない概算です。長生きすれば、繰下げ受給による増額の恩恵をより長く受けられます。

 

「80歳まで生きるかどうかなんて、今は分かりませんからね」

 

修一さんは、少し考え込んだといいます。

 

さらに説明を受けて驚いたのが、働きながら年金を受け取る場合の仕組みでした。厚生年金に加入して働く人には、賃金と老齢厚生年金の合計額に応じて年金の一部または全部が支給停止される「在職老齢年金制度」があります。

 

ただし、老齢基礎年金はこの調整の対象になりません。また、修一さんのように月収30万円程度であれば、今回の年金見込額との組み合わせでは、在職老齢年金による支給停止は生じない想定です。

 

「働いている間は年金をもらわないほうが得だと、勝手に思い込んでいたんです」

 

実際には、65歳から給与と年金の両方を受け取り、使わなかった年金を貯蓄するという選択肢もありました。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げることもできます。

 

修一さんは、今すぐ年金を請求するか、もう少し繰下げを続けるか、改めて検討することにしました。

 

「繰下げが悪い制度だとは思いません。自分に合っているかどうか、もっと考えておけばよかったですね」

 

年金の繰下げ受給は、将来の受給額を増やす有効な選択肢の一つです。ただし、働き方や家計、健康状態によって、適した受給開始時期は異なります。増額率だけで判断せず、受け取らない期間の年金額や税・社会保険料への影響も含めて確認することが大切です。

 

【関連記事】

■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧