「今まで払ってくれてたのに」援助を断って変わった親子の距離
美智子さんは今月分までは支払うものの、翌月からは息子夫婦で負担してほしいと説明しました。
「私もこれから家の修理にお金がかかるの。ずっと出し続けるわけにはいかないわ」
しかし、健太さんは納得できない様子でした。
「今まで払ってくれてたのに、急にやめられると困るよ。子どもたちも楽しみにしてるんだから」
「習い事をやめろと言っているわけじゃないのよ。続けるなら、あなたたちで払ってほしいの」
電話は、気まずい雰囲気のまま終わりました。
その後、美智子さんは息子一家の態度が変わったと感じるようになります。以前は週に何度も届いていた孫の写真が減り、月に1、2回あった訪問も途絶えがちになったのです。
「たまたま忙しいだけかもしれないと思いました。でも、こちらから連絡しても、前ほど話が弾まなくなって」
ある日、孫の誕生日が近づいたため、健太さんに電話をかけました。
「今度、お祝いを渡したいんだけど、いつ来られそう?」
健太さんは「最近忙しいから、また連絡する」と答えるだけでした。美智子さんは、援助を断ったことが影響しているのではないかと考えるようになりました。
総務省『2025年平均 消費者物価指数』によると、2025年の消費者物価指数は前年比3.2%上昇し、食料は6.8%上昇しました。生活費が増えるなか、子育て世帯だけでなく、年金生活者も家計の見直しを迫られています。
美智子さんの場合、年金月21万円に対して普段の生活費は約16万円。月3万円の援助を続けても、すぐに生活が立ち行かなくなるわけではありません。
ただ、固定資産税や家の修繕費、将来の医療・介護費用なども考えると、毎月の余裕をすべて使うことには不安がありました。
「孫のために使うお金は惜しくありません。でも、私が無理をしてまで続けることなのかと考えたんです」
数週間後、美智子さんは健太さんに改めて電話をかけました。
「習い事のお金はもう出せないけど、孫たちにはこれからも会いたいの。最近、全然顔を見られなくて寂しいわ」
すると健太さんは、しばらく黙ったあと、こう話したそうです。
「正直、急に負担が増えて困ったんだ。でも、こっちも甘えてたよね」
健太さん夫婦は習い事を整理し、子どもたちとも相談して、続けたいものを選ぶことにしたといいます。
その後、孫たちが再び遊びに来るようになりましたが、美智子さんは以前のように金銭的な援助を申し出ることは控えています。
「これからは、お金を出すことより、一緒に過ごす時間を大切にしたいですね」
祖父母からの教育費援助は、子ども世帯の家計を支える一方、長期間続けば負担になることもあります。援助を始める際には、金額や期間、終了する条件を家族で共有しておくことが大切です。親しい間柄だからこそ、それぞれの生活を守れる範囲で助け合うことが、良好な関係を長く続けることにつながるでしょう。
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