(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後は、仕事に追われていた日々から解放され、夫婦で旅行や趣味を楽しみたいと考える人もいるでしょう。しかし長年別々の生活リズムで過ごしてきた夫婦が、退職を機に同じ時間を共有するようになると、思わぬすれ違いが生じることもあります。これからの暮らしについて、夫婦でどこまで話し合えているかが問われる場面もあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「私には私の生活がある」妻が伝えた退職後の希望

真理子さんは現在、週3日、近所の事務所でパート勤務をしています。仕事のない日は陶芸教室に通ったり、友人と出かけたりと、自分なりの生活を楽しんでいました。

 

「あなたが働いている間に、私にも生活のリズムができたの。仕事もすぐに辞めるつもりはないし、友達との約束だってあるわ」

 

哲也さんは、妻が仕事を続けたいと考えていることを初めて知りました。

 

「パートなんだから、旅行に合わせて休めばいいと思っていたんです。でも、妻にとっては大切な仕事だったんですよね」

 

真理子さんも、夫との旅行が嫌なわけではありません。

 

「年に何回か一緒に旅行するのは楽しみよ。でも、毎月のように出かける生活は考えていなかったの」

 

哲也さんが退職後の予定を立てていた一方で、真理子さんは今の暮らしを続けながら、ときどき夫婦で出かけられれば十分だと思っていたのです。

 

国立社会保障・人口問題研究所『第6回全国家庭動向調査』によると、妻が60〜69歳の夫婦で、夫婦一緒に旅行(日帰りを含む)に出かけることが「ある」と回答した割合は50.2%でした。夫婦で旅行を楽しむ家庭がある一方、その頻度や過ごし方は、それぞれの希望によって異なります。

 

「妻は退職したら喜んで一緒に出かけてくれると思っていました。今まで旅行に行けなかったのは、私の仕事が忙しかったからだと決めつけていたんです」

 

振り返れば、旅行の行き先を考えるときも、哲也さんが候補を挙げ、真理子さんがそれに合わせることが多かったといいます。

 

妻が本当はどこに行きたいのか、どのくらいの頻度で出かけたいのか、じっくり聞いたことはありませんでした。

 

その後、夫婦は改めて退職後の過ごし方を話し合いました。

 

「旅行は一緒に行きたい。でも、あなたも自分の楽しみを見つけたらどう?」

 

真理子さんにそう勧められた哲也さんは、以前から興味のあった写真教室に通い始めました。

 

最近は一人で近郊の名所を訪れ、風景写真を撮ることもあるそうです。

 

「最初は一人で出かけてもつまらないと思っていました。でも、意外と楽しいんですよ」

 

夫婦旅行については、年に2、3回を目安に、互いの予定を確認しながら計画することにしました。

 

「妻と一緒に過ごす時間を増やしたかったんですが、妻が大切にしている時間のことは考えていませんでした」

 

定年退職は、本人だけでなく家族の生活にも変化をもたらします。夫婦で過ごす時間を充実させるためにも、それぞれが望む暮らし方や大切にしたい時間について、早い段階から話し合っておくことが大切でしょう。

 

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