「私だって年金暮らしなのに」68歳母が息子に伝えたこと
後日、佳代子さんは拓也さんに電話をかけました。
「最近、毎週来てくれるでしょう。何か理由があるの?」
すると拓也さんは、少し言いにくそうに答えました。
「実は、家計がちょっと厳しくてさ。子どもたちを外に連れていくと、すぐお金がかかるんだよ」
息子夫婦は共働きですが、住宅ローンや教育費、食料品の値上がりなどで、以前より生活費に余裕がなくなっていたといいます。
「お母さんの家なら子どもたちも喜ぶし、ご飯も食べられるから、つい甘えちゃってた」
佳代子さんは、その言葉を聞いて複雑な気持ちになりました。
「息子たちが困っているなら助けたい。でも、私だって年金暮らしなんですよね」
総務省『2025年平均 消費者物価指数』によると、2025年の食料価格は前年比6.8%上昇しました。食費の負担増は、子育て世帯だけでなく、年金生活者の家計にも影響します。
佳代子さんは、自分の生活費を改めて計算してみました。
普段の支出は月約14万円。年金との差額は約5万円ですが、そこから家の修繕費や将来の医療・介護費用などにも備える必要があります。
毎週の食事代を負担し続ければ、自分のために使えるお金も少なくなります。
さらに、土曜日は朝から買い物と料理に追われ、日曜日は疲れて家で休むことが増えていました。
「お金だけじゃなくて、自分の時間もなくなっていたんです」
佳代子さんは、次に息子一家が訪れたとき、思い切って話しました。
「遊びに来てくれるのはうれしい。でも、毎週ご飯を用意するのは、ちょっと大変になってきたの」
拓也さんは驚いた様子でした。
「そんなに負担になってた? ごめん。全然気づかなかった」
話し合いの結果、今後は月2回ほどの訪問にし、昼食や夕食は息子夫婦が持参したり、一緒に作ったりすることにしました。
「お母さんに全部任せてたね。次は俺たちがご飯を持っていくよ」
最近は、孫たちと近所の公園で遊び、帰りに息子一家が買ってきたお弁当を食べることもあるそうです。
「孫と会うのは楽しみです。でも、無理をしてまでごちそうする必要はないんだと思えるようになりました」
家族間の助け合いは、日々の暮らしを支える大切なものです。ただ、訪問が習慣になると、費用や家事の負担が一方に偏ることもあります。互いの生活状況を理解し、無理なく続けられる頻度や役割分担を話し合うことが、良好な関係を保つことにつながるでしょう。
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