(※写真はイメージです/PIXTA)

共働き世帯にとって、祖父母による子育ての手助けは心強いものです。保育園や学校が休みの日に、孫を預かってもらう家庭もあるでしょう。一方、祖父母自身も年齢を重ね、体力や生活のペースが変化していきます。家族のために始めた手助けが習慣になると、負担を感じてもなかなか言い出せないことがあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「孫はかわいい。でも休みたい」半年間言えなかった本音

転機になったのは、ある日曜日の夕方でした。

 

孫たちが帰ったあと、節子さんはソファに座ったまま、しばらく動けなくなったといいます。

 

「夕飯、どうする?」

 

夫に聞かれても、すぐには返事ができませんでした。

 

「もう何もしたくない。明日が月曜日でよかった……」

 

口に出した瞬間、自分でも驚いたそうです。

 

「孫たちが帰ってほっとするなんて、冷たいおばあちゃんだと思われそうで、誰にも言えませんでした」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、日常生活で家族や知人などから頼られることとして「子や孫の世話」を挙げた人は26.0%でした。また、同じ調査では「家事」を挙げた人が35.9%に上っています。高齢者が家族を支える役割を担っていることがうかがえます。

 

節子さんも、孫を預かること自体が嫌になったわけではありません。ただ、週末のほとんどを孫の世話に費やし、自分の予定を立てられなくなっていたのです。

 

翌週、彩乃さんからいつものように連絡が届きました。

 

「今度の土日もお願いしていい?」

 

節子さんは少し迷ったあと、電話をかけました。

 

「彩乃、ちょっと相談があるの。毎週土日とも預かるのは、そろそろ難しいかもしれない」

 

彩乃さんは驚いた様子でした。

 

「えっ、お母さん、体調でも悪いの?」

 

「病気じゃないの。ただ、最近は疲れが抜けなくて。私も友達と出かけたり、家でゆっくりしたりする時間が欲しいのよ」

 

すると彩乃さんは、しばらく黙ってから謝りました。

 

「ごめん。お母さんがいつも『大丈夫』って言ってくれるから、甘えてた」

 

彩乃さんは、母が週末の予定を取り消してまで孫を預かっていたことも知りませんでした。

 

話し合いの結果、今後は月2回、原則として土曜日だけ預かることにしました。それ以外の日は、娘夫婦が勤務先とシフトを調整し、必要に応じて自治体のファミリー・サポート・センターなども利用する予定です。

 

ファミリー・サポート・センターは、地域で子育ての援助を受けたい人と援助したい人をつなぐ仕組みです。ただし、利用できる曜日や時間、対応内容は地域によって異なります。

 

「孫に会うのは楽しみなんです。だからこそ、疲れ切ってしまう前に話せてよかったと思っています」

 

最近の節子さんは、週末に友人と出かける予定も入れられるようになりました。

 

祖父母による子育て支援は、共働き家庭にとって大きな助けになります。ただ、負担が一人に集中すると、長く続けることが難しくなる場合もあります。預ける頻度や時間をあらかじめ話し合い、状況に応じて見直していくことが、家族みんなにとって無理のない関係を保つことにつながるでしょう。

 

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