(※写真はイメージです/PIXTA)

お盆や年末年始など、久しぶりに実家へ帰省する時間を楽しみにしている人は多いでしょう。親にとっても、離れて暮らす子どもや孫との再会はうれしいものです。しかし、親が年齢を重ねるにつれ、以前は当たり前にできていた来客の準備が負担になることもあります。久しぶりの帰省をきっかけに、親の暮らし方について考え直す人もいるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「次からはホテルを取ろう」45歳長男が決めた新しい帰省の形

2日目の午後、健一さんは妻と子どもたちを連れて買い物へ出かけました。

 

帰宅すると、和子さんは居間のソファで横になっています。

 

「お母さん、具合が悪いの?」

 

「具合が悪いわけじゃないの。少し休んでいただけ」

 

話を聞くと、和子さんは帰省の数日前から布団を干し、客間を掃除し、食材を買いそろえていたそうです。

 

普段は夫婦2人分の家事で済みますが、今回は7人分。寝具の準備や洗濯物も増え、思った以上に疲れがたまっていたといいます。

 

「昔は平気だったんだけどね。最近は、ちょっと頑張ると翌日まで疲れが残るのよ」

 

健一さんが「それなら、もっと手伝わせてくれればよかったのに」と言うと、母は困ったように笑いました。

 

「せっかく帰ってきてくれたんだから、ゆっくりしてほしいでしょう」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、日常生活で家族や知人などから頼られることとして、「家事」を挙げた人は35.9%、「子や孫の世話」は26.0%でした。高齢になっても家族を支える役割を担う人がいることが分かります。

 

健一さんも、母がいつまでも以前と同じように家事をこなせると思い込んでいたことに気づきました。

 

その夜、妻と相談して、翌日の朝食は自分たちで用意し、使った布団も片づけることにしました。

 

そして帰る前、健一さんは両親に伝えました。

 

「次からは近くのホテルを取ろうと思う。昼間は遊びに来るからさ」

 

すると、和子さんは少し寂しそうな顔をしました。

 

「そんな、泊まっていけばいいじゃない」

 

健一さんが「お母さんたちも疲れるだろうし、俺たちも気を使わずに済むから」と説明すると、隆夫さんが口を開きました。

 

「それもいいかもしれないな。最近は夜、静かなほうがよく眠れるんだ」

 

和子さんも、しばらく考えてからうなずきました。

 

「孫たちには会いたいけど、確かに昔みたいにはできないわね」

 

次の帰省では、実家の近くに宿泊先を取り、食事も外で済ませる予定です。

 

「親が元気なうちは、実家に泊まるのが当たり前だと思っていました。でも、これからは親の生活のペースも考えたいです」

 

親が年齢を重ねるにつれ、帰省の受け入れ方も変わっていきます。宿泊日数を短くする、食事を持参する、近隣の宿泊施設を利用するなど、負担を減らす方法はいくつもあります。親の体力や生活習慣に合わせて帰省の形を見直すことが、家族で過ごす時間を長く楽しむための工夫になるでしょう。

 

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