「誕生日会なんて聞いていない」孫の言葉で知った家族の秘密
72歳の正雄さん(仮名)は、妻を亡くし、持ち家で一人暮らしをしています。年金収入は月15万円。生活に大きな不自由はなく、近くに住む息子一家と会うことを楽しみにしていました。
息子の健太さん(仮名)は42歳。妻と小学3年生の娘・結衣ちゃんの3人で暮らしています。
正雄さんにとって、結衣ちゃんは唯一の孫です。
「小さいころから本当にかわいくてね。会うたびに何か買ってあげたくなるんですよ」
おもちゃや文房具、洋服など、結衣ちゃんが欲しがるものを見つけると、つい財布のひもが緩んでしまうといいます。
ある日、正雄さんが息子宅を訪ねると、結衣ちゃんがうれしそうに話しかけてきました。
「おじいちゃん、この前の誕生日、ケーキがすごく大きかったんだよ!」
正雄さんは首をかしげました。
「誕生日? お祝いは来週じゃなかったか?」
結衣ちゃんの誕生日は前の週でしたが、正雄さんは家族で集まるのは翌週末だと思っていたのです。
すると、結衣ちゃんは急に声を小さくしました。
「あっ……おじいちゃんには内緒にしてって言われてたんだった」
その言葉に、正雄さんは胸がざわつきました。
話を聞くと、先週末に息子夫婦と結衣ちゃん、そして妻の両親が集まり、自宅で誕生日会を開いていたというのです。
「おじいちゃんだけ、呼ばれてなかったのか……」
正雄さんは、何も知らずに孫へのプレゼントを準備していた自分が情けなくなりました。
帰宅後、息子に電話をかけました。
「結衣の誕生日会をやったんだってな。どうして俺には声をかけなかったんだ?」
健太さんはしばらく黙ったあと、「実は、前から話そうと思っていた」と切り出しました。
「父さん、結衣に何でも買い与えるのは、そろそろやめてほしいんだ」
