「売ればお金になる。でも…」女性が抱える不安
窓口で事情を説明すると、担当者からは預貯金や年金収入、今後の支払いの見通しについて尋ねられました。
久美子さんは、通帳の残高を見せながら話しました。
「今年は何とか払えても、来年はどうなるか分からないんです」
担当者は、納付が難しい場合には早めの相談が必要であることを説明しました。
固定資産税の納付が困難な場合、自治体では事情に応じて分割納付の相談に応じたり、一定の要件を満たす場合に徴収猶予などの制度を利用できたりすることがあります。ただし、単に年金収入が少ないという理由だけで、税金が自動的に免除されるわけではありません。
久美子さんは、納付方法について相談を続けることにしました。
一方、担当者とのやり取りを通じて、今後も自宅を維持し続けられるのか、改めて考えるようになったといいます。
総務省『2023年住宅・土地統計調査』によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%でした。住宅を所有していても、住み続けられなくなった後の管理や処分について考えておく必要があります。
久美子さんも、これまで自宅をどうするか真剣に考えたことはありませんでした。
「売ればお金になるのは分かっています。でも夫との思い出がある家ですし、今さら知らない場所へ引っ越すのも怖いんです」
親戚に相談すると、都内の小さなマンションへ住み替える方法を提案されました。
しかし、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や引っ越し費用がかかり、売却益によっては税金の確認も必要です。
また、マンションを購入すれば、管理費や修繕積立金などの支払いも発生します。
「今の家を売れば安心だと思っていましたが、次の住まいにもお金がかかるんですね」
久美子さんは現在、不動産会社に売却時の諸費用を確認するとともに、近隣の賃貸住宅や高齢者向け住宅についても情報を集めています。
自宅に住み続ける場合の修繕費と、住み替えた場合の生活費を比較し、今後の暮らしを決めたいと考えているそうです。
「家を残すことばかり考えていました。でも、自分が安心して暮らせることも大事にしたいです」
自宅の資産価値が高くても、年金や預貯金が少なければ、税金や維持費の支払いが負担になることがあります。高齢期の住まいを考える際には、売却価格だけで判断せず、今後の収入や必要な支出、住み替えにかかる費用まで含めて検討することが大切でしょう。
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