「これ、本当に大丈夫なの?」半年ぶりに訪れた娘が見た室内
移住から半年後、都市部に住む39歳の娘・真由さん(仮名)が、初めて新居を訪ねました。
玄関に入った真由さんは、室内の様子に驚きます。
廊下には除湿機が置かれ、居間の家具は壁から離されていました。使っていない和室には、壁紙を剥がした部分があり、窓枠の下には変色した跡が残っています。
「お父さん、これ、本当に大丈夫なの?」
真由さんが尋ねると、正彦さんは「ちょっと湿気が多くてね」と答えました。
しかし恵子さんが修理の見積書を見せると、娘の表情が変わりました。
窓まわりの補修や傷んだ内装の交換など、当面の工事費は約180万円。さらに、外壁や屋根にも経年劣化が見られ、今後の補修を勧められていたのです。
「そんなにかかるの? 買う前に分からなかったの?」
正彦さんは言葉に詰まりました。
国土交通省『令和5年住生活総合調査』では、65歳以上の夫婦世帯の持ち家について、地震に対する安全性に43%、台風や水害に対する安全性に35%が不満を感じているとされています。住まいの安全性は、高齢期の暮らしを考えるうえで重要な問題です。
真由さんは、修理費だけでなく、両親の今後の生活も心配していました。
「これから年齢を重ねるのに、何かあるたびに業者を呼んで、お金を払っていくのは大変じゃない?」
正彦さんも、その不安は感じていました。
年金収入は夫婦で月20万円。日々の生活費はほぼ年金で賄えていましたが、大きな修繕費は貯蓄から出す必要があります。
「安く買えたと思っていたけれど、維持するお金を甘く見ていました」
その後、夫婦は別の業者にも調査を依頼し、雨水の侵入箇所や補修の優先順位を確認しました。
まず必要な防水工事を行い、外壁などの工事は状態を見ながら計画的に進めることに。修繕に備える資金も、生活費とは分けて管理するようにしました。
真由さんからは「今後、住み続けるのが難しくなったら、早めに相談してね」と言われています。
「海を眺める暮らしは、今でも気に入っています。ただ、景色だけで家を選んではいけなかったと痛感しました」
正彦さん夫婦は、当面はこの家で暮らす予定です。一方、修繕費がさらに膨らむ場合には、住み替えも含めて検討するつもりだといいます。
中古住宅への移住では、購入価格に加え、建物の劣化状況や修繕費、地域特有の気候条件を確認することが欠かせません。購入前に専門家による建物状況調査を利用し、将来の維持費も含めた資金計画を立てることが、移住後の安心につながるでしょう。
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