「また泊まりに行くね」娘からの連絡を素直に喜べない理由
65歳の由美子さん(仮名)は、67歳の夫と2人暮らしです。
夫婦の年金収入は合わせて月23万円。住宅ローンを完済した一戸建てで、貯蓄を少しずつ取り崩しながら生活しています。
由美子さんには、車で2時間ほどの場所に住む38歳の娘がいます。娘は夫と、小学3年生、幼稚園年長の子ども2人の4人家族です。
娘一家は、連休などを利用して年に5、6回、由美子さんの家に泊まりに来ます。
「孫たちが来るのはうれしいんです。普段は静かな家が一気ににぎやかになりますから」
ただここ数年、帰省が近づくと気が重くなるようになりました。
娘一家が泊まるのは、たいてい2泊3日。由美子さんは数日前から客用布団を干し、寝室を掃除し、食材を買い込みます。
孫たちが好きな唐揚げやハンバーグを用意するほか、朝食にはパンとご飯の両方を準備。娘の夫にも気を遣い、夕食には品数を増やしていました。
「せっかく来てくれるんだから、おいしいものを食べさせたいと思って。でも、6人分を毎食作るのは大変で」
食事が終われば大量の洗い物が待っています。夫は孫と遊ぶことが多く、台所に立つのはほとんど由美子さんでした。
帰省中の食費や外食代、孫への小遣いなどで、1回につき2万~3万円ほど使うこともあります。娘一家が帰った後も、布団の片づけやシーツの洗濯が残ります。
「帰った翌日は、何もする気になれないんです。洗濯機を何回も回して、布団をしまって。それだけで一日が終わります」
夫からは「孫たちが来て楽しかったな」と言われますが、由美子さんは同じ気持ちで答えられなくなっていました。
そんなある日、娘からメッセージが届きます。
「来月の連休、また泊まりに行くね!」
以前ならすぐに「待ってるよ」と返していたはずです。しかし、その日は携帯電話を置いたまま、しばらく考え込んでしまいました。
「また準備しなきゃいけないのかと思って。孫には会いたいのに、泊まりに来ると聞くと身構えてしまうんです」
