「あなたの最後の居場所だからね」「ウソでしょ…」
「何かと思ったら、お墓だったんですよ!」
山田さんの母親は、自宅近くの霊園に、なかなかの広さの墓地を購入していたのです。
「お母さんはいまのところ元気だけど、そのうち介護でケンちゃんのお世話になるものね。でも、そのあとは、お父さんがいるここに入るから。ケンちゃんもいずれ、ここに戻ればいいからね」
あなたの最後の居場所だからね、といって笑顔で説明する母親の言葉に、思わず絶句した山田さん。
「ウソでしょ…」
どうしてこのタイミングで、数百万円も使ってしまうのか
山田さんは頭を抱えます。
「母は、父のお骨を〈お父さんがいないと寂しい、寂しい〉と言って納骨していなかったんです。だから、私も油断していました。まさか、相談もなく墓を買ってしまうとは」
山田さんの父親は次男のため、山田家のお墓はありませんでした。
「私は独身ですし、東京が生活拠点です。実家に帰るつもりもありません。いずれ母がひとり暮らしできなくなったら、施設に入ってもらおうと思っていました。貯金はその費用に充てるつもりだったのに。これから何があるかわからないのに、どうしてこのタイミングでお墓に数百万円も使ってしまったんでしょう…」
山田さんは、母親としっかり話し合わなかったことを後悔しています。
内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)』によると、高齢者が今後の生活の中で「お墓の準備」をしている割合は20.4%。また、老後の備えとして「終活関係の準備(葬儀やお墓の準備、財産等の整理・相続の準備)」を意識する人は38.1%となっています。そして、認知機能低下時の財産管理を「子や他の親族に委ねる」とした割合は36.4%(女性では46.9%)に達しています。
少子高齢化が進展する中で、親世代と子世代が「お墓」についてしっかり意見をすり合わせないと、山田さん親子のような結果になりかねません。
「購入してすぐこんなことを言うのはあれですが、墓じまいってどうやるんだろう。名前を彫った墓石も置かれて、いまさらクーリングオフはできないでしょうしねぇ」
厚生労働省によれば、焼骨を別の墳墓や納骨堂へ移す「改葬」も市町村長の許可を受けなければなりません。現在の墓地の管理者や自治体への確認も必要になります。
厚生労働省『2025年(令和7年)人口動態統計』によれば、2025年の死亡数は158万9,489人。高齢化が進むなか、子世代が「お墓の問題」に頭を痛めるケースも増えていく可能性が高そうです。
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