「雪ん子」に見る地域活性化の事例
その他のいいことの例についても基本的な考え方は同じです。
例えば地域スポーツでは、応援してくれた人にチーム独自のポイントを発行しているケースがあります。そのポイントをチームポイントではなく雪ん子で発行すれば、チームを応援するというインセンティブを低下させることなく、ポイント消費の幅を広げることができます。
体育館や美術館といった公共施設においても、利用促進のために行政が雪ん子を発行することができるでしょう。この場合の受益者は行政です。
というのも、体育館の利用が増えて住民が健康になると、将来的に医療費などの費用削減につながる可能性があるからです。美術館の場合は利用者を増やしたいという目標があるかもしれません。
雪ん子が利用可能な施設になることで、雪ん子のあらゆる活動に参加している利用者が対象となり、それまでに利用が少なかった新しいターゲット層に向けて販売促進ができます。
地域イベントへの参加は、ボランティア活動を通じた雪ん子発行と似ています。イベントでは参加賞や景品をもらうことがあると思います。そこで雪ん子を発行することにより、次の消費につなげることができます。景品よりポイントの方が嬉しいという人もいるはずです。
キッズイベントの参加賞を雪ん子にすれば、子供たちが地元の雪ん子加盟店舗に行くきっかけを作り出すことができますし、雪ん子の仕組みや地域活性化の取り組みに興味を持つ可能性も期待できます。
電気やガスなどの省エネでは、例えば前年同月の使用量より少なくなった世帯や、夏冬のエネルギー消費がピークとなる時に利用を控えるなどのエコ活動に対して雪ん子を発行することができるでしょう。電気やガスを供給する企業は地元のライフラインを担う地元密着型ですから、地域経済の活性化には大変関心があると思います。
また、電力・ガスの自由化により、独占・寡占だった状態から変化する過程では、企業にとって雪ん子発行のようなサービスが差別化につながる可能性もあります。
地元の金融機関も地域密着型ですので、信用金庫や地方銀行、地元カード会社などの金融機関にとって地域経済の活性化は極めて重要です。
地元で日常的に買い物をする動機付けにも
また、一般的に行われているキャンペーンとしては、定期預金の預け入れや、新入社員の給与振込口座・年金振込口座の申し込みでカレンダーなどの粗品を配っています。
その費用の一部を雪ん子発行にあてれば、地元での消費の促進になりますし、地元密着企業であることのPRにもなるでしょう。地元の金融機関にとっては地元企業が主要な顧客ですから、一般の預金者を商店街などの雪ん子加盟店に送客することでWIN─WINの関係を構築できます。
地元の商店街やスーパーで買い物をすることは、地域経済にとってとても「いいこと」です。日常の買い物で雪ん子が貯まったり、いろいろな「いいこと」をしたりして貯めた雪ん子で買い物をしてもらうことは、地域経済にとって重要であることはいうまでもありません。
この話は次回に続きます。