せっかくの取り組みも単独では効果が限定的に
これまでの連載で述べてきた内容を1枚の図にまとめると、以下の図表のようになります。この図を私は「煙突モデル」と呼んでいます。
[図表]地域の「煙突モデル」
各々の煙突は地域内の活動を示し、その一本一本の煙突が地域通貨の発行者を表します。また、その煙突は地域の活動がタテ割りになっていることを表しています。
一所懸命に活動しても各々の活動がつながらず、連携していなければ、相乗効果(シナジー)は生まれません。現状の各々の活動(煙突)として、例えば独自のポイントや商品券などを発行するといった取り組みはありますが、単独で行っているため、効果も限定的になっているのです。
目指すのは「地域経済」「コミュニティ」の活性化
そこで重要なのが、煙突に横軸を通すことです。上の図は、地域通貨という横軸がその役割を果たすことを示しています。地域通貨は、あらゆる「いいこと」で貯まりますので、すべての分野に共通して貯めることができ、使うことができます。決して簡単な道のりではありませんが、最終的にはすべての煙突に横軸を通すことが地域通貨の理想形だと私は考えています。
図の下部の太い煙突は地域通貨の使い方を示しています。この図では、地元店舗で利用したり、行政施設で利用できたり、寄付できたりすることができることを表現しています。
この上下の活動(煙突)が、地域通貨の代表的参加者です。地域通貨は、その名の通り「通貨」ですので、その発行量・流通量が重要な指標になります。流通量が少なければ、不活発な状態を示すことになります。流通量を増やすには、多様な参加者がいて、多様な貯め方、多様な使い道があることが重要です。簡単にいえば、「どこでも貯められて、どこでも使える」ということです。
この「煙突モデル」図は、地域通貨の理解のために非常に重要なものです。導入・活用を考えるときの概念として、この図を念頭に置いていただけるとよいかと思います。