(※写真はイメージです/PIXTA)

退職後は、現役時代にはできなかったことを楽しみたいと考える人もいるでしょう。まとまった退職金や貯蓄があれば、旅行や趣味にお金を使う余裕も生まれます。ただ、まとまった支出が数年にわたって続けば、十分に思えた資産でも想定以上のペースで減ることがあります。定期的に残高や年間の支出額を確認しておくことも大切です。

6,000万円あったはずが…4年分の支出を並べて気づいたこと

69歳になった春、隆夫さんはクレジットカードを整理するため、前年の利用明細を確認しました。そこで気になり、銀行口座や金融資産の残高も合わせて確認します。

 

退職時に約6,000万円あった金融資産は、約4,500万円になっていました。4年間で約1,500万円の減少です。

 

もちろん、そのすべてが旅行代ではありません。

 

固定資産税や自宅設備の交換、車の維持費なども含まれています。それでも過去の明細を確認すると、旅行関連の支出が想像以上に大きくなっていました。

 

「1回100万円なら払えると思っていたんです。でも、年に何回か行けば300万円近くなる年もある。それを何年も続けたらどうなるかという計算をしていませんでした」

 

6,000万円から1,500万円減っても、4,500万円あります。直ちに生活に困る状況ではありません。

 

しかし隆夫さんが気になったのは、このペースを今後も続けた場合でした。

 

単純に同じペースで資産が減り続けるとは限りませんが、70代以降には住宅の修繕や医療、介護など別の支出が発生する可能性もあります。

 

さらに、物価も一定ではありません。総務省『2025年平均 消費者物価指数』では、総合指数は前年比3.2%上昇しました。年金額にも物価や賃金の変動を反映する仕組みがありますが、支出額そのものが将来まで変わらないとは限りません。厚生労働省によると、2026年度の年金額は基礎年金で前年度比1.9%、厚生年金の報酬比例部分で2.0%引き上げられています。

 

隆夫さんは旅行をやめたわけではありません。変えたのは、年間で使う金額です。

 

海外旅行は原則年1回にし、それ以外は国内旅行へ。長距離便ではビジネスクラスを選ぶこともありますが、マイルを使ったり、ホテルのグレードを調整したりするようになりました。

 

また、生活費と旅行費を合わせ、1年間で資産をどこまで取り崩すのかを年初に決めています。

 

「旅行したことは後悔していません。元気だったから歩き回れた場所もあります。ただ、『6,000万円ある』という数字だけを見て、毎年いくら減っているかを見ていなかったんですよね」

 

高齢期の支出は、年金だけで賄えるものではなく、資産を取り崩すこと自体も珍しいとはいえません。旅行や趣味など、自分が望む経験に振り向けることも使い道の一つです。

 

その際、「今いくら持っているか」に加えて、1年間でいくら使い、同じ生活を続けた場合に資産がどう動くのかを定期的に確認しておくことが重要です。楽しむために使うお金だからこそ、将来の生活費とのバランスを見ながら、自分なりの使い方を決めていく必要があるでしょう。

 

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