「毎月の暮らしを軽くしたい」夫婦が選んだ住み替え
きっかけの一つになったのは、車の買い替えでした。車検の際、整備費が想定以上にかかることが分かり、隆さんが「次も車を買うのかな」と漏らしたのです。
美代子さんは答えました。
「車がなくても暮らせるところに引っ越すのは?」
夫婦は民間の賃貸住宅や中古マンションなども調べ、そのなかで都営住宅も選択肢に入れました。
都営住宅は、住宅に困っている一定の所得以下の人を対象とした公営住宅です。希望すれば誰でも入居できるわけではなく、所得や住宅困窮などの資格要件があり、募集に応募して入居者の選考を受ける必要があります。
夫婦は自分たちが要件を満たすことを確認して応募。その後、入居できることになりました。
選んだ住まいは2DK。以前の4LDKと比べれば大幅に狭くなります。
その代わり、スーパーや診療所へは徒歩で行け、バス停も近くにあります。引っ越しを機に車も手放しました。
内閣府の同調査では、住まいや地域の環境について重視することとして「医療や介護サービスなどが受けやすいこと」を挙げた人は61.4%、「駅や商店街が近く、移動や買い物が便利にできること」は54.1%でした。高齢期の住まいでは、住宅そのものだけでなく、その場所で日常生活を続けられるかどうかも重要な条件になっています。
一戸建ては売却し、売却代金は今後の生活資金として残しました。
隆さんは、「車のことも家の修理のことも、前ほど考えなくなった」と言います。
もちろん、都営住宅でも家賃がかかり、収入などに応じて負担額は変わります。一戸建てを売って公営住宅へ移れば、すべての世帯で支出が減るというわけでもありません。
持ち家を完済することは、一つの大きな節目です。ただ、その家で暮らし続けるために必要なお金や移動手段までなくなるわけではありません。
住み慣れた家を残すのか、売却して生活環境を変えるのか。どちらが適しているかは、資産額だけでなく、今後の維持費や交通手段、日々の暮らしやすさによっても変わります。70代、80代の生活を見据え、住宅ローン完済後の住居費まで含めて考えておくことも、住まいを選ぶうえで重要でしょう。
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