(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢になると、年金が生活を支える中心的な収入になる人は少なくありません。一方で、年金以外に不動産収入や金融資産などを持つ人もいます。離れて暮らす親が、毎月どのような収入を得て、どれほどの資産を持っているのか。子どもがその全体像を知らないケースもあるでしょう。

79歳母が質素に暮らしていた理由

健一さんがさらに驚いたのは、母が家賃収入をほとんど生活水準に反映させていなかったことでした。

 

「だったら、もう少しいいもの食べたり、旅行したりすればいいじゃない」

 

そう言うと、和子さんは「全部使えるお金じゃないのよ」と返します。

 

物件は築30年以上。過去には給湯設備の交換や外壁の補修など、まとまった支出もありました。

 

空室になれば家賃収入は減ります。固定資産税などの負担もあり、将来的に大規模な修繕が必要になる可能性もあります。

 

そのため和子さんは、家賃が入る口座と生活費の口座を分けていました。

 

「年金と、家賃から毎月決まった金額を生活費に回してるの。残りは修理が必要になったときのために置いてある」

 

不動産所得は賃料などの総収入から必要経費を差し引いて計算します。固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などが代表的な必要経費です(国税庁『タックスアンサー No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)』)。

 

健一さんには、もう一つ疑問がありました。

 

「でも、なんで俺には言わなかったの?」

 

和子さんは少し考えてから答えます。

 

「お金のことを細かく説明する必要もないと思ってたのよ」

 

一方で今回を機に、2人は物件についても話すようになります。

 

管理会社はどこなのか。書類はどこに保管しているのか。修繕のためにどれほど資金を残しているのか。そして、和子さん自身が管理できなくなった場合はどうするのか。

 

高齢の親の経済状況を考える際、年金額だけでは家計の全体像は分かりません。不動産収入がある人もいれば、預貯金を取り崩して生活する人もいます。反対に、一定の収入があっても、資産の維持費や税金などを負担している場合があります。

 

親子であっても、すべての資産や収入を共有する必要があるわけではありません。ただ、年齢を重ねれば、入院などをきっかけに本人が財産を管理できなくなる可能性も出てきます。金額そのものだけでなく、どのような資産があり、誰が管理し、必要な書類がどこにあるのか。元気なうちに最低限の情報を整理しておくことは、その後の手続きや財産管理を考えるうえでも重要です。

 

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