なぜ「警察官を名乗る電話」でだまされるのか
ニセ警察詐欺の巧妙な点は、単にお金の振込を要求するだけではないことです。
まず、「あなたの口座が犯罪に使われている」などと伝え、本人に恐怖心を抱かせます。そのうえで、「すぐに捜査に協力しなければ逮捕される」「資産を保護する必要がある」などと説明し、冷静に考える時間を奪うのです。対面での接触の場合は、偽の警察手帳や逮捕状を見せてくるケースがあります。
さらに、電話会社を名乗る人物から「警察官役」へと電話を代わるケースや、SNS・ビデオ通話へ誘導されるケースも確認されています。このような手口について、警察庁は被害を防ぐための注意喚起を行っています。
警察が電話で振り込みを求めることは「ない」
警察官が電話で捜査への協力を求め、資産を保護するなどの名目で指定口座への振り込みを求めることはありません。警察庁は、警察官を名乗る人物から捜査対象になっていると言われた場合は、電話を切って警察相談専用電話「#9110」に相談するよう呼びかけています。
また、最近では実在する警察署の電話番号を偽装して表示させる手口も確認されています。そのため、着信画面に実在する警察署の番号が表示されたとしても、それだけで本物と判断しないことが大切です。
不審な電話を受けたときに最も重要なのは、その場で判断しようとしないことです。「捜査に協力しないと逮捕される」「今日中に送金手続きが必要」などと相手が不安をあおってきたら、いったん電話を切りましょう。その後、相手から教えられた電話番号には折り返さず、「#9110」に相談することが確実です。
銀行口座の暗証番号やインターネットバンキングのログイン情報、キャッシュカードの情報などを電話で伝えないことも重要です。もし、すでに振り込んでしまった場合は、「もう手遅れだ」と諦めず、できるだけ早く警察と振込先の金融機関に連絡しましょう。被害の拡大を防ぐためにも、時間を置かずに相談することが大切です。
【専門家の視点】資産を「守る」ことも、老後の資産管理
老後の資産管理では、お金を「増やす」だけでなく、「失わない」視点も大切です。特に高齢期は、失った資金を現役世代のように働いて補うことが難しくなります。
例えば、毎月の生活費が21万円の場合、300万円は約14ヵ月分の生活費に相当します。詐欺による一度の被害が、その後の生活設計に大きな影響を与える可能性があります。
詐欺では、不安をあおったり「今すぐ手続きが必要」と急がせたりして、冷静に考える時間を奪う手口が使われます。「自分はだまされない」と思っていても、突然このような状況に置かれると冷静な判断が難しくなることがあるのです。
だからこそ、「お金の話が出たらいったん電話を切って家族に相談する」「身近に頼れる人がいない場合は役所に相談する」など、事前にルールを決めておくことが重要です。大切な老後資金を詐欺被害から守るための仕組みを作ることも、資産管理の一つだと考えましょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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