「お母さん、どうしちゃったの」…娘の嘆き。入居一時金600万円・月額25万円の老人ホームに入れた81歳母、“至れり尽くせり”の暮らしで“失ってしまったもの”【CFPの助言】

「お母さん、どうしちゃったの」…娘の嘆き。入居一時金600万円・月額25万円の老人ホームに入れた81歳母、“至れり尽くせり”の暮らしで“失ってしまったもの”【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「一人で暮らすのは心配だから」「安心して過ごしてほしい」――高齢になった親を思い、老人ホームへの入居を勧める家族は少なくありません。24時間スタッフが常駐し、食事や掃除などの生活支援も受けられる施設なら、「これで安心」と思うのも無理はないでしょう。しかし、家族にとっての「安心」が、本人にとって「幸せな暮らし」とは限りません。 今回は、老人ホームへの入居を考える際に大切な「安全」と「本人らしい暮らし」のバランスについて、トータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が解説します。

「お母さんのために」介護付き有料老人ホームへの入居を決断

「母にとって一番いい選択だと思って、老人ホームに入れたんです。でも……」

 

東京都に住む会社員の山田恵さん(仮名・52歳)は振り返ります。

 

恵さんは、地方都市で一人暮らしを続けていた母・和子さん(仮名・81歳)のことがずっと気がかりでした。

 

当時の和子さんは、高血圧の持病はあるものの要介護認定は受けておらず、身の回りのことは自分でできる状態でした。それでも高齢者の一人暮らしです。「転倒したりしても、誰も気づかないかもしれない」――和子さんが年を重ねるごとに、恵さんの不安は増していきました。

 

とはいえ、恵さんは夫と共働きで、高校生の子どももいます。実家までは新幹線で約3時間かかり、何かあってもすぐ駆け付けられる距離ではありません。そんな不安から、恵さんは和子さんに老人ホームへの入居を勧めました。

 

選んだのは、自立した高齢者も入居できる混合型の介護付き有料老人ホームです。月額利用料は25万円、入居一時金は600万円と、安い金額ではありません。

 

ですが、和子さんの年金収入は月18万円ほど。預貯金は約2,300万円あり、持ち家で住宅ローンもありません。年金だけでは月7万円ほど足りませんが、預貯金から補填しても当面の生活は十分に成り立ちます。

 

なにより、食事は栄養士が管理し、24時間スタッフが常駐。レクリエーションも充実しています。

 

「ここなら、お母さんが安心して幸せに暮らせる」――そのはずでした。

「食事がおいしい」「掃除もしなくていいから楽」のはずが…

「食事がおいしいし、掃除もしなくていいから楽。この施設に入れてよかったわ」

 

入居当初は、そう笑顔で話していました。しかし、しばらくすると、和子さんに変化が現れるようになります。

 

「以前は新聞を隅々まで読んでいたのに、興味がなくなったみたい。年齢的にしかたないとはいえ、居眠りもすごく増えて。一番ショックだったのが、母がときどき杖を使うようになったこと。……私には、急激に衰えてしまったように見えたんです」

 

そう話す恵さん。以前の和子さんは、毎朝近所のスーパーまで歩き、庭の草花の手入れをし、近所の友人と立ち話をするのが日課でした。

 

一方、施設では食事も掃除もスタッフがしてくれます。必要な支援を受けられることは大きな安心ですが、まだ自分でできることが多かった和子さんにとっては、「自分でやる」機会が少なくなっていきました。

 

職員から声をかけてもらい、レクリエーションにも参加できますが、以前のように「自分で何かをする」という場面は少なくなりました。また、施設でも話す人はいますが、長年同じ地域に住んだ顔見知りとは、やはり少し違います。

 

さまざまな要因が重なったのか、和子さんは少しずつ元気を失っていったのです。

次ページ母が口にした本音…娘の後悔

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧