「もしもし、警察ですが」…夫婦合わせて月23万円の年金で生活する73歳男性が「老後資金300万円」を失うまでの〈巧妙な詐欺手口〉【CFPの助言】

「もしもし、警察ですが」…夫婦合わせて月23万円の年金で生活する73歳男性が「老後資金300万円」を失うまでの〈巧妙な詐欺手口〉【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「あなた名義の口座が犯罪に使われています。資金洗浄事件に関係している可能性があります」。73歳の男性に、ある日突然、警察官を名乗る人物から電話がかかってきました。身に覚えがないと伝えても、「捜査に協力しなければ逮捕される可能性がある」と告げられ、男性は次第に冷静さを失っていきます。最終的には、老後のために貯めてきた300万円を振り込んでしまいました。今回は、トータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、高齢者を狙う特殊詐欺の実態と、怪しい電話がかかってきたときの対処法について解説します。

「口座が犯罪に使われている」と突然の電話

「あなた名義の口座が犯罪に使われています。このままでは、あなたも捜査対象になります」

 

平日の午前10時ごろ、73歳の佐藤誠さん(仮名)のもとに突然電話がかかってきました。

 

誠さんは65歳で会社を定年退職し、現在の収入は夫婦合わせて月23万円ほど年金のみ。毎月の生活費は約21万円のため、貯金を取り崩すことなく年金のみで生活ができています。預貯金は、退職金と現役時代からの貯蓄を合わせた約1,200万円を老後資金として確保。今後必要となる医療費や修繕費のために、すぐに引き出せるようにしていました。

 

電話の相手は警察官を名乗り、「詐欺事件の捜査で、あなた名義の銀行口座が使われていることが分かった」と説明しました。誠さんには身に覚えがありません。ところが「あなた自身が犯罪に関与している可能性もある」「捜査に協力しないと逮捕されることもある」と不安をあおられます。

 

「資産を守るため」と言われ、合計300万円を送金

「資産を保護するため、指定する口座に一時的にお金を移してください。確認が終われば返金します」

 

そのように指示された誠さんは、「警察が言うのなら」と思い、指定された口座へ100万円を振り込みました。

 

翌日、昨日と同じ人物から「別の口座も確認する必要があります」と電話で告げられます。さらにその後、「残りの資産についても確認が必要」と言われました。誠さんは電話のたびに100万円を振り込み、合計で300万円を送金してしまいます。誠さん夫婦にとって、1年以上の生活費を賄えるほどの大金です。

 

警察からの確認連絡を待っていた誠さんでしたが、3回目の送金後、相手からの電話はパタリと途絶えました。

 

誠さんは、そこで初めて「あの電話は警察ではなかったのではないか」と疑い始めたのです。

 

ニセ警察詐欺の被害者は70代が最多

警察庁によると、2026年7月末までに認知された特殊詐欺は26,051件、被害額は2,108.1億円に達しています。前年同期と比べると、認知件数は3,709件、被害額は632.8億円も増加しています。

 

特殊詐欺のなかでも特に注意したいのが「ニセ警察詐欺」です。

 

2026年7月末までのニセ警察詐欺は5,422件発生しており、被害額は617.1億円に上っています。前年同期と比べて認知件数は6.4%減少した一方、被害額は25.7%増加しています。また、2026年上半期の統計では、ニセ警察詐欺の被害額・認知件数ともに70代が最も多く、最初の接触手段は電話が9割以上を占めています。

 

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※プライバシーに配慮するため、登場人物の情報に一部変更を加えています。

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