「次は何を用意すればいい?」初孫が生まれ増えていったお祝い
「もう、これからは呼ばなくていいから」
娘から初孫の1歳の誕生会について連絡を受けたとき、恵美子さん(仮名・70歳)は思わずそう口にしました。
恵美子さんは5年前に夫を亡くし、一人暮らしです。年金収入は月約18万円。住宅ローンを完済したマンションに住み、金融資産は約900万円あります。
一人娘の香織さん(仮名・38歳)は夫と1歳の長男との3人暮らし。恵美子さんの自宅からは電車で1時間ほどの距離です。
待望の初孫が生まれたとき、恵美子さんは出産祝いとして10万円を渡しました。
その後も、お宮参りの食事会では「せっかくだから」と会計の一部を負担。ベビーカーを買うと聞けば5万円ほど援助し、初節句には祝い金と五月人形代の一部を合わせて数万円を出しました。
香織さんから毎回頼まれていたわけではありません。
「お母さん、そんなに出さなくていいよ」
そう言われることもありました。それでも恵美子さんは、「初孫だもの」「こういうときくらい」と財布を開いてきました。
ところが、半年ほどたったころから、家族行事の連絡を受けるたび、最初に考えることが変わっていきます。
「今度は、いくら包めばいいんだろう」
孫に会える楽しみより先に、お金のことが頭に浮かぶようになったのです。
内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)』によると、60歳以上の25.2%が子や孫の生活費の全部または一部を負担しています。また、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた人は25.8%でした。子や孫のためにお金を使いたいと考える高齢者は、決して珍しくありません。
そんななか、香織さんから1歳の誕生会について連絡が届きました。
「来月の日曜日、みんなでお祝いしようと思うんだけど、お母さんも来るよね?」
ホテルではなく自宅で開く小さな誕生会です。香織さんは料理を用意し、両家の祖父母を招くつもりでした。
それでも恵美子さんの口から出たのは、娘が予想していなかった言葉でした。
「もう、これからは呼ばなくていいから」
