「こんなに減ってる?」2年分の通帳を並べて見えた年間収支
きっかけは、マンションの設備交換でした。給湯器とエアコンの買い替えが重なり、まとまった支出が必要になりました。
そのとき洋子さんが久しぶりに夫婦の預貯金をまとめて確認しました。
「ねえ、ちょっと来て」
隆夫さんが横に座ります。2年前には約6,200万円あった金融資産が、約5,500万円まで減っていました。
「700万円?」
夫婦は初めて、2年間の支出を大まかに整理しました。
海外旅行や国内旅行、宿泊費などに2年間で約300万円。家具・家電の買い替えや外食、衣服などにも以前より多く使っています。
もちろん年金収入もありました。それでも、日常生活費を含めて計算すると、年間の支出が年金収入を大きく上回る状態になっていました。
洋子さんはそこで初めて口にしました。
「私たち、こんなに使って大丈夫なの?」
6,200万円という資産額だけを見ていたときには気にならなかったことが、「1年間にいくら減っているか」で考えると違って見えました。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、60歳以上が今後の経済面で不安に思うこととして、「物価が上昇すること」が7割を超えて最も多く、医療・介護費や、将来一人で生活できなくなった場合の住み替え・施設入居費を心配する人も少なくありません。
夫婦にも、今後マンションの設備交換や医療、介護など、現時点では金額を予測できない支出があります。
旅行をやめる必要はない。そう考えた夫婦は、「使わない生活」に戻るのではなく、年間の予算を決めることにしました。
海外旅行は頻度を見直し。国内旅行を含めたレジャー費には年間の上限を設け、日常の外食や買い物も月ごとに確認します。
「旅行したことは後悔していません。楽しかったですから。でも、6,200万円あるから大丈夫、という考え方は違ったんですよね」
老後資金は、ただ残しておけばいいものでも、自由に使い切っていいものでもありません。
資産残高の大きさだけを見るのではなく、年金収入に対して年間いくら使い、資産がどの程度のペースで減っているのかを把握する。老後を楽しみながら資産を使うためにも、「残高」だけではなく「減り方」を確認することが重要です。
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